君は、「カルチベート」しているか。
そろそろ、体験に勝る学びはないことを語りたい。
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娘の学びを観測して大変嬉しい気持ちになった話。
4歳になった娘は、関心の対象を日々広げている。
鉄道に集中していた興味のアンテナを広げ、身近な生き物や自然現象など様々なことに興味をもつようになった。
そのなかで、好きなもののひとつがてんとう虫。
動いても怖くない程よい大きさ、キレイな色、模様、もぞもぞとした動き。
おそらくそんな特徴を好きになったと思われる。
好きなものをより詳しく知る機会をつくろうということで、早速てんとう虫に関する本を図書館で借りたり、本を買ってみた。
なかでも、この本を買ったら何度も読んでいた。
実際のてんとう虫に忠実。アブラムシを食べる描写やてんとう虫の幼虫、さなぎ、成虫に進化する様を色彩感覚を刺激して学べる素敵な絵本だ。
ちょうどこの本を読んでいた10月頃、庭にてんとう虫が遊びにくるようになった。さらに、庭で伸びっぱなしになっていたねこじゃらしに、てんとう虫のさなぎがくっついているのを発見。家族で日々観察して「いつごろ成虫が出てくるかなー」と楽しみにしていた。
そして、その時はきた。
いくつかあったさなぎの1つから、てんとう虫の成虫がゆっくりと出てきた。ナナホシテントウはさなぎから出た直後は黄色で、やがて赤に黒の斑点が出てくる。👆の本と見比べながら、目の前の成虫を観察する娘はすごく嬉しそうな表情をしていた。
僕は娘をみて
「これが学ぶってことか!!!!!!!」
と僕自身も学びを学び、感激してしまった。
てんとう虫の生態を本を読み、理解すること。
実物のてんとう虫を探してみること。
その動き、見た目を観察してみること。
本と同じところ、本には載っていないところを見つけること。
本でさなぎの形を知り、家の庭にさなぎがあることに気づくこと。
さなぎから出た直後の成虫は黄色であること。
さなぎから出た直後の成虫は動きがすごくゆっくりなこと。
すべてのさなぎが成虫になれるわけではないこと。
この過程を一緒に体験できたことが素晴らしすぎる。尊い。最高。
「うちの娘はこんなこと知ってて賢いやろ」と言いたい気持ちは毛頭ない。
おそらく時間が経てば、この体験も忘れてしまうだろう。
しかし、「こういう過程を体験して、どんな気持ちを感じたのか」
という脳の回路に焼き付いたことは今後大きな財産になるんじゃないかと思っている。これからもこういう機会を提供、共有していきたい。
「学ぶこと」について太宰治がこんなことを語っていた。
💡 学問なんて、覚えると同時に忘れてしまってもいいものなんだ。
けれども、全部忘れてしまっても、その勉強の訓練の底に一つかみの砂金が残っているものだ。これだ。これが貴いのだ。勉強しなければいかん。
そうして、その学問を、生活に無理に直接に役立てようとあせってはいかん。ゆったりと、真にカルチベートされた人間になれ!
僕が、「脳に焼き付いた回路」と表現したことは太宰治のいう「底に一つかみの砂金」なのかもしれない。
さすが文豪、美しき表現。
このカルチベート(Cultivate)は以下のような意味だ。
(才能・品性・習慣などを)養う,磨く,洗練する.
(文学・技芸を)修める,錬磨する.
さすが文豪、美しき表現。
君は、「カルチベート」しているか。
すいません。言ってみたかっただけです。
ゆったりと、真にカルチベートされた人間になれ!
なにとぞ。