【初回のみ有料】磐城まんぢう書き下ろし小説『ののうの野』を不定期掲載しています。
時は戦国、かつて信州祢津地域に実在した”ののう巫女”集団にスポットを当て、戦乱に巻き込まれていく…
¥1,000
- 運営しているクリエイター
#巫女
第14話 口寄せの妙術
何処へ向かっているのだろうか?
往く先に何が待ち受けているのか? 奈落の底か? それとも常若の楽土か?────前を歩く才蔵の背中は何も教えてくれず、その道のりは永遠に続くのではないかと思われた。ただ一つだけ分かっていたとすれば、足を一歩進める毎に帰るべき道が確実に消えていくという事だった。
「ねえ、どこまで行く気?」
「誰もいない山の中だ。黙ってついて来い」
と才蔵は言う。しかし不思議と
第13話 相模の方(かた)様
巫女の一日は未明の水垢離から始まる。それは旅歩きをしている時も同じで、水で身体を清めたあと、巫女たちは組頭巫女の対面に正座し、祭文を復唱してから口授で教えを受ける。そしてようやく朝餉を食し、食事が済むと神事舞太夫はその日の口寄せ回りの予定を伝える。依頼がなく時間が空く時などは、こちらの方から飛び込みで家々を訪問し、今で言う訪問販売的な事をして仕事を取ることもままある。
翌朝、巫女らを集めた丸山