風景にもポートレートにも。最強ズームXF 16-55mm F2.8の話。
富士フィルムのレンズはかなりふんわりした写りをすると思っていたのもつかの間。正直このレンズの写りを観て度肝を抜かれました。
今回の話はタイトル通り個人的に最強ズームの名を冠しているフジXマウント用レンズXF16-55mmF2.8 R LM WRについてです。
フルサイズ換算24-82.5mmの使いやすい焦点域で全域解放F2.8の所謂大三元の一角として鎮座している1本。
筆者は、こいつをX-H1につけて運用しているのですが、冒頭に述べた通り従来の富士フィルム観を変える写りを発揮します。
もともと筆者は単焦点党なのでXF 35mm F/1.4Rを使っていました。
これが良い意味でふんわりした画を吐き出してくれたので、ここで富士フィルムはふんわりした画が撮れるメーカーと定義付けされてしまったわけなのですが、そこで迎え入れたこいつは全く真逆で、圧倒的な鮮明感でカリカリな画を吐いてくれるレンズだったわけです。
雨露に濡れた葉っぱ。撮って出しでフィルムシュミレーションはVelviaの1枚。
見てくださいこのカリカリ感。しかもこの写真解放で撮ったものです。
解放でここまで撮れてしかもズームもできるとなると最強ズームの冠を授けたくなるのも納得していただけると思います。
こちらはF5.6に絞り、モノクロレタッチした1枚。
絞り、さらにモノクロレタッチするとこのレンズのポテンシャルがより鮮明に表れてきます。
金網の無機質な冷たさが見てわかる解像感。たまりません。
こちらは先ほどの階段を上った場所での1枚。F8.0で撮っていますが、55mmで圧縮効果でごちゃごちゃしそうな住宅街や、線路の敷石までも描写しています。この写真の写りを世に知らしめたくてこの記事を書こうと思った裏話もあったりします。
これは55mmで解放の1枚。ボケます。かなりボケます。嫌味がなく被写体を浮き上がらせる。それでいて花びらの繊維明暗を映してくれる。素晴らしいレンズです。
ここからはまとめて。かなり多いので流し見程度にぜひ。
と、スナップ作例からこのレンズの圧倒的表現力もわかっていただけたと思いますが、このレンズポートレートもこなせてしまうんです
まずはこちら。解放で奥の目にピントを合わせています。
ポートレートと言うこともあり、少しシャープネスを下げてやる必要はありますが、元の解像力のおかげで、違和感なく気持ちの良い写りをします。
引きの画でこちらも解放。服の繊維から髪の毛まで解像しています。
最後に俯瞰からの1枚。室内なので少しノイズが乗ってしまっているが、ハイライト部の髪の毛はしっかり一本ずつ描かれている。
このように人工物のような硬いものから、ポートレートのような温かみが欲しい場面でも万能に使えてしまうのが、このレンズなのだ。
だが、こんな解像感と明るさを両立させるがための欠点が重量と大きさである。
このレンズなんとAPS-C用にもかかわらず重量655g、フィルター径77mmというフルサイズ並みのサイズ感なのだ。実際に使っているとかなり威圧感を感じるサイズ感ではある。
それでもこのレンズは唯一無二の完成度を誇るレンズなのだ。ここまで作りこまれていて、高級感のあるレンズはそうそうないだろう。
それを考えると、重量や大きさなんかは許容できてしまう。
こいつと35mmF1.4がある限り富士フィルムの画の魅力からは逃れられないだろうと思う。
富士フィルムの本気の姿勢の感じられるレンズ。Xマウントユーザーはぜひ一度お試しを。