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ミールスとアドベントカレンダー
〇前回の日記からかなり時間があいてしまったけれど、今回は11月いっぱいの日記。
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〇週末に、黒石市へ移転してから行けないまま数年経ったスパイスカレー屋さんに満を持して連れていってもらった。大好きだけど、このお店にいくといつもちょっと緊張する。毎回ミールス(南インドの定食スタイルを言うらしい)の食べ方がわかるか訊かれる。逡巡してから、私のようなものが指折り数える程度食べたところで……の気持ちで「お願いします」と教えを乞うのだけれど今回も勿論そうした。だいたい、それぞれを味わいつつ好きなもの同士をお好みでまぜまぜするように言われる。
小さなボウルがいくつも乗った鏡みたいな銀の大きなお皿、こんもりとそびえる白米、湯気とスパイスの香りが立ちのぼる様子を目の当たりにしてうっとりと、もういてもたってもいられない気持ちで食べ始める。何回も経験しているのに食べるたびにとびっきりの味がする。そして、味もだけど、私は食べ物を大盛りやお代わりしてたくさんお腹いっぱい食べるということを「卑しい」とされる環境で育ったのでそういうことをしてこなかったけれど、夫と出会ってからたくさん食べると爽快な満足感を味わえる食事が存在するのだと知った。それはつけ麺だったけれど、このミールスも私にとってお腹いっぱいになるのが幸せだと感じる食事だ。次はメインカレーがポークビンダルーの時に行きたい。
〇お風呂上りに、夫を前に仁王立ちして腰に手を当て、青汁を一気飲みして「まずい!もう一杯!」と言ったら、めちゃくちゃや……と戸惑っている。自分の今の恰好、頭はタオルがソフトクリームのよう、顔はパック中、お腹がまあまあ出ている、タンクトップにパンツ。そういうこともある。
〇私はお寿司が大好きだけど、今は生ものを控えている。けれどそのことを伝えてなかった親族からたくさん海鮮をもらったので、我慢しきれなくて、ふたりでせっせと生で食べると美味しいエビをよく焼いてマヨをかけ、卵を焼き、寿司を作った。美味しいけれど、生魚が食べたくてどうにかなりそうである。因みにその人はビールもよくくれるのだが、夫が最近お酒を飲まないと伝えたらしく、われわれが体を壊しているのではないかと怪しまれている。
〇ここのところ、谷川俊太郎さんや詩のことを考えていた。谷川さんはネロに、ネロの知らないたくさんの夏を教えてあげただろうか、そうだったらいいな、とぼんやり思った。
〇昔からそうだった。何かやらなくてはいけない課題を前に、とんでもないプレッシャーを感じつつ、机の掃除が異様に捗り、途中でしばらく読んでない漫画を広げて、何も終わらない。夏休みの課題を31日に泣きながら親族総出でやっている小学生のわたしへ。学校を幾つか出ても、結婚しても、33歳になっても、何ひとつ変わらない。今日は迫る〆切の詩の原稿が進まなくて、尻に火どころか全身が焼け焦げているくらいなのに二時間ほど部屋の掃除をして満足感が漂っている。そのうえnoteを更新し始めて、どうにもならないけど、まあこっちもこっちでなんとかやってるよ。
〇今日こそは詩の原稿を進めようと書き始めたら電話が鳴って、ブッシュドノエルを作るから遊びにおいでとのこと。でも〆切がぎりぎりなので、昼までに終わらせると誓う。危うくブッシュドノエルに遅れるところだったけど昨日書けなかったところをかなり書き進んでほぼ書き終わった。いつも思うのだけれど、別に意図して書いたわけじゃないのに書き進めるうちに、意味が繋がった!とかこの単語って今まで書いたところに当てはまるじゃん!という、パズルのピースがはまるというか、ちょっとセレンディピティとでも呼びたいようなことが起きて、毎度これに助けられている。今回もそう。他の人たちもそうやって詩を書いているのか、機会があったら聞いてみたい。そういえばブッシュドノエルって写真でしか見たことない。
〇「チュアチュリーパンランチ」という語感がとても好きだなと自覚する。
〇夫にあげた、クリスマスまで一日にひと窓ずつ開けてゆくタイプのアドベントカレンダーを久々に見ると、上辺の糊で封をされているところに大きな透明なテープがべったりと貼られている。「開け方わからなくてバリっと開けちゃった」とはにかみながら言っている。そういうこともある。
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