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部下との接し方が分からない

 みなさん、こんにちは。井内 正博です。ご訪問いただき、ありがとうございます。

 お困りごとファイル004は「部下との接し方が分からない」です。
 仕事で悩んでいる部下や後輩に、どんなふうに接したらいいのか? どんなふうに声を掛ければいいのか? こちらとしてはアプローチの仕方を模索しているのですが、もしかしたら相手は、近付いてほしくないと思っている場合もありますから、なかなか難しい問題ですね。

 企業の経営者や幹部の方たちは、上司は部下の「指南役」であり、「コンサルタント」であり、「コーチ」であってほしいと考えているようです。「指南役」の仕事はティーチング、「コンサルタント」の仕事はコンサルティング、「コーチ」の仕事はコーチングですが、それぞれ、部下との接し方に違いがあります。

 ティーチングでは、部下が教わりたいと思っているか否かに関係なく、教えなければならないことを教え、伝えるべきことを伝えなくてはなりません。しかも、最も効率が良い方法で、最も良いタイミングで。その場合は、部下の表情や体調を見たり、部下の声のトーンやテンポに注意を払ったり、仕事の進捗状況を把握したりして、しっかりと部下を観察したうえで行うのがポイントです。つまり、観察対象が部下になるので、まさに「部下と向き合う」という表現になると思います。
 ところがコンサルティングやコーチングでは、部下と「向き合う」のではなく(実際には部下の様子をしっかり観察しながら行うのですが)、部下と「同じ方向を見る」ことで、部下の同士になったり、仲間になったり、伴走者になったりしますので、「部下に寄り添う」という表現になると思います。

 たとえば、がんばっているのにイマイチ成績が伸びない部下にコンサルティングする場合は、観察対象は部下ではなく、「業務の優先順位付け」や「業務のやり方」になります。コーチングする場合は、観察対象は、部下の「役割」や「業務」ではなく、部下の「感情」や「価値観」になります。

 それでは、「部下と同じ方向を見る」とか「部下に寄り添う」というのは、具体的にどのように振る舞うことなのでしょうか?
 コンサルティングでは部下に「問う」、コーチングでは部下に「聴く」という手法をおススメしています。

 さきほどの、がんばっているのにイマイチ成績が伸びない部下に「問う」場合は、「なぜ業務に優先順位を付ける必要があるのか?」とか「やり方を変えるべき業務はどれか?」などについて部下に問います。ときにはアドバイスもしますが、基本的に「教える」ことはせず、あくまで、部下自身で答えを出してもらうようにします。ここでのポイントが、部下と「同じ方向を見る」「同じ対象を見る」です。
 一方、「聴く」場合は、イマイチ成績が伸びないことついて「あなたはどう考えますか?」とか「あなたはどうしたいですか?」と問いますので、部下は自分の心の内を明らかにすることが必要になってきます。ですから部下との信頼関係が構築されていないとコーチングは不可能です。「聴く」とは信頼関係を構築するための振る舞いです。信頼関係が構築された上でコーチングを進めていくと、「実は父親が介護状態になってしまい、仕事が手に付かないんです」と告白され、時短勤務や配置転換などの会社的措置が必要だということが分かったりする場合があります。こちらの場合もポイントは同じで、部下と「同じ方向を見る」「同じ対象を見る」です。

 部下との接し方は、部下ひとりひとりに合わせたものでなくてはならないので大変です。でも「部下の機嫌が良いように」を優先させすぎると、上司のあなた自身が疲れてしまい、仕事が面白く無くなってしまいますので、適度に「自分自身の機嫌が良いように」という心持ちを忘れずに。

 明日のあなたがご機嫌様でありますように。


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