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バスの車窓からみた景色を

 この夏にしたいこと、かぁ。全く書けていなかったnoteに何かを書こうと、目についたハッシュタグについて考えてみる。具体的な予定は思い浮かぶけど、それをどう文章にしようか。エアコンのよく効いたバスの中で、湿気の多そうな雲を眺めた。

 いつものバスを降りると、なにやら親子が降り口近くに立っていた。運転手さんに聞きたいことでもあるのかな、と思いながら横を通り過ぎる。

「運転手さんのところでピッてするんだからね」
「(声のないうなずき)」

 リュックを背負った男の子に、お母さんがそう教えていた。あぁ、と納得する。初めて一人で乗るバスはドキドキだよなぁ、と思い出せもしない初めての記憶に思いを馳せた。

 もう7月だ。というか、8月になる。不定期投稿なんてしていたらほとんどこうして文章を書こうとしなくなっていた。きっとこの夏もいろいろ楽しいことがあるだろうから、定期的には書いていきたい、なんて計画性のない気持ちはある。

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 上京(千葉だけど)して、もう4年目になる。同級生は就職する年で、ちらほらこちらに来て就職する人の噂を聞いたり、実際に会ったりしている。地元に残っている人を見ると、「いつでも会えていいなぁ」と思うこともあり、人並みの寂しさは感じていた。

 上京した友だちと実際会って話すと(そう、この温度感だった)とその人との雰囲気というか、話しているリズムみたいなものがどんどん思い出してくる。今、関係性を作っていく会話のテンポと、久しぶりに会って話すテンポはやっぱり違う。

 こっちに来たのは、自分にとって本当に偶然、たまたまだった。学校に行くのがやっとで、通えそうな大学をオープンキャンパスも行かずに決めて地元で受験し、後期選抜でギリギリ受かったから来た大学。

 地元を離れたからこそ、地元に帰りたいとワクワクすることが増えたし、こっちにしかない施設や街を巡るといまだにフワフワする。ここにいるからできる仕事をしていて、ここにいるから学べることもあって。ここにいたから出会えた人と、別れて、また再会して。

 毎日が新しい体験というと仰々しいかもしれないが、未だにそう思ってしまう。バスから乗り換えた駅のホームで、「ホームの端っこの柵とその向こうに続くレールの景色が無性に好きだ」という気づきを得るみたいに。

たとえばこんな。

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 あの男の子は無事バスに乗れたんだろうか。初めて乗ったバスの車窓からみる景色を、夏休み一言日記にどう書くんだろうか。

 私にだって、まだ見たことないことも、知らないこともたくさんある。


お台場の海には屋形船がたくさん

 きっとそうだ。もっといろんなことを知りたい。大学の学期中にはできなかった趣味をやり、いけなかった施設に足を運び、今だからこそ会える人と遊んで、知らない土地の空気を吸いたい。自分のことを知らない人しかいないような場所にだって行きたい。

 この気分が、次に進む風を運んできてくれる。新しい場所に行ってみたくなる。この夏にしたいことは、きっとそういうことだ。

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