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マーケターとしての出発点。「顧客を知る」を実体験したバイト時代。

おはようございます、iCAREという会社でマーケターをしているたけC(→X / twitter)といいます。

「たけCさん、顧客を知るためには何をしたらいいんですか?」

はい、でました。マーケティングを学びはじめると必ず言われることがこれ「顧客を知る」です。本でもネットでもセミナーでも、耳にタコができるほど聞くこの基本ですが、、、

あなたは自信を持って「私は顧客を知るために行動している」と言えるでしょうか?

今日は、私自身のマーケターの初仕事であるサプリメントの商品開発において、「顧客を知る」を実体験したときのエピソードをシェアします。


あれは司法試験を諦めた大学4年生・・・

当時の私はサプリメント通販の会社(と言っても社長と小川の二人だけ)でバイトとして働いていました。

司法試験への2回目のチャレンジが終わり、弁護士になる道をあきらめたタイミングです。

その会社が扱っている商材は加齢臭対策のサプリメント

コンプレックス商材の定番通り、初回購入はお試し価格にして定期通販へ繋げることでLTVを伸ばすビジネスモデルです。

私はこの会社で梱包スタッフをしていました。

WEBサイトで申し込みのあった新規顧客と定期顧客に、週3回(月水木)商品を発送する。加えて、新規顧客に対しては定期コースへ勧誘するためにDMを配送する。DMの中身は印刷だが、開封率を高めるために封筒の宛名はすべて手書きにしていた。梱包とDM送付、一日あたり30-50件ぐらいの処理なので当初は4時間かかっていた作業も慣れて2時間で済むようになる。

わたしの性格上、早く仕事がおわるからといって2時間で終わらせはしない。「今日は量が多いなぁ」みたいないリアクションをとりながらも、ノンビリと作業するようになる。

当然、社長との雑談が増えるようになり、雑談は次第にマーケティングの話に発展した。

新商品開発にチャレンジしてみる

加齢臭サプリの成長スピードが停滞を見せ始めた頃に社長から「小川、新商品つくってみろ」と提案された。それまで梱包とDM宛名書きと電話対応しかしていない大学生に対して、新商品開発をやらせようしたのだ。「体臭関連でもっとビジネスを広げるんだ」、これが小川のマーケターデビューになる。

新商品のカテゴリはすぐに決まった。
「体臭対策していることがバレないアメ」

加齢臭への電話相談を受ける中で、「サプリを飲んでることを知られたくない」というニーズに気付いたからだ。当時2008年頃、サプリメントというのは関節が痛む老人か美を求める女性が飲む印象が強かった。一方で加齢臭は男性サラリーマン、それも働き盛りの40手前〜50代がメインターゲットだ。日中、職場の同僚に知られるところで茶色のビンからガサガサと2粒のカプセルを飲むのは抵抗があったんだと思う。

この悩みは加齢臭に限ったことではない。

体臭対策サプリはすでに世の中にいくつも存在しているが、調べた限りほとんどの体臭対策サプリメントが効くことをイメージしやすいようにクスリっぽさや漢方っぽさをパッケージにしていた。

確かにサプリバレしやすい。
・・・しかし、まだ大学生だった小川には「サプリバレしたくない」ニーズはイマイチピンと理解できなかった。それを察したのか社長から

「今からこのビルの喫煙室にヒアリングしにいこう」

と誘われたのだ。そう今すぐにだ。

体臭に悩む人の喫煙割合は非常に高い。それは自社の顧客データからも明らかだったし、喫煙者なら口臭対策にガムを噛んでいたりする。サプリバレしたくないニーズが本当にあるのか確かめにピッタリな場所だ。




結果として「サプリバレしたくないニーズ」なんてものは存在しなかった笑

ここまでの記事を読んでみて、
「確かに体臭対策がバレないアメって売れるかも」と少しでも思ってしまったあなたは「顧客を知る」をもう一度学び直すべきかもしれない。

喫煙室でのヒアリングを通して見つけた本当の顧客ニーズは
「体臭対策のために何かのニオイをつけたくない、無臭でありたいんだ」というニーズだった。

そう、「体臭対策に気付かれたくない」という仮説は正しかったが、それはサプリかどうかではなく、 体臭対策としてミントとかバラとか石けんといった新たなニオイをつけることを忌避していたのだった。

加齢臭対策サプリのコアバリューを刷新

顧客を知ることで本当の顧客ニーズに気付いた結果、新商品開発はやめることにした。 その代わり、既存の加齢臭サプリの商品名や広告文を変更した。

訴求内容はただひとつ。無臭サプリ

嫌なニオイを良いカオリに変えるのではなく、ただ無臭になること。
これを加齢臭対策サプリの新たなコアバリューとして再定義した結果、Yahoo!広告(当時はOverture)経由のCV率と会員継続率が80%近く改善した。

君は「顧客を知る」ために行動しているか?

冒頭の質問に答えよう。
「たけCさん、顧客を知るためには何をしたらいいんですか?」

僕の中で顧客を知るためには3ステップある。
Step1. 直接たずねる(訪ねる・尋ねる)
Step2. 言葉と行動の不一致を見つける
Step3. またたずねる

今日はこのうちStep1についてのエピソードを紹介しました。直接訪ねて、直接尋ねることが何よりもまず行動してほしいことです。

本で調べる、GoogleAnalyticsのデータを読み解く、商談記録を読む、、、確かにそれらも重要な情報源ではあるけれど、それらはあくまでも補助的な情報源であると再認識しておきましょう。

リアルな顧客に会い、話し、感覚を共有する。マーケター自身が顧客になりきれるほどの行動を起こすことが、顧客を知る第一歩です。

でも、残念ながら「直接たずねる」だけでは顧客の潜在的なニーズまでは把握できません。人というものは自分自身のことを100%認識できない生き物だからです。

顧客は自分自身のことを100%認識できているわけではないから、意識せずに嘘をつきます。本人が語る言葉と、その行動が不一致を起こすのです。ここに顧客の潜在的なニーズが存在します。

「言葉と行動の不一致を見つける」についてはまた後日、お話ししましょう。それではまた

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