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【日録】2025.1.24 焼き芋とコーヒーと本があれば
最近、スーパーの焼き芋にハマっている。秋口になると、入口に焼き芋コーナーが出るのは知っていたが、1本300円もするので手を出したことがなかった(吝嗇なのです)。八百屋さんで購入したら同じ値段で、4〜5本のさつまいもが手に入る。それを家でふかして食べるので十分だと思っていた。
先日、いつものスーパーで焼き芋の特売があり、娘が食べてみたいというので渋々買ってみた。帰宅し、さつまいもを割って衝撃を受けた。さつまいもが金色に光っている!蜜がすごい。見ただけで美味しさが分かる。食べてみたら想像以上に甘くて驚いた。
私はさつまいもが好きだ。以前、大根は万能だと褒めたが、考えてみるとさつまいもが一番ポテンシャルが高いような気もする。甘いのでも辛いのでもいける。スイーツ、サラダ、味噌汁、煮物、天ぷら……。大根と違って生では食べられないけれど、幅広い料理に使えて、低価格。日本中どこでも食べられる。それもこれも甘藷先生のおかげだろうか。ありがとうございます。
いったんハマり出すと飽きるまで続ける性分なので、2,3日に1回はスーパーが空いている時間に家を出て、ほかほかの焼き芋を携えて森へ行く。森の中で食べる焼き芋は格別だ。今の私は、焼き芋とコーヒーと本があれば十分幸せ。
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子どもの頃、団地に石焼き芋屋さんがよく来ていたことを思い出す。他にも移動販売車はたくさんあった。チャルメラを鳴らしたラーメン屋、短調なラッパのお豆腐屋、金魚やメダカ売り、パン屋、移動図書――。移動販売の音や曲が遠くから聴こえてくると、わくわくする。ご飯を食べたあとにチャルメラが来ると必ず弟がねだるので、家族で買いに行った。ラーメンも焼き芋もパンも豆腐も、美味しかったかどうかは覚えていない。ただ、あの音が聞えてきたときの高揚感だけははっきりと思い出せる。辺鄙な田舎でスーパーもなく、あるのは小さな個人商店だけだったので、移動販売車はそれなりに重宝していたと思う。私が中学に上がるくらいだろうか、いつの間にか来なくなってしまった。
今は移動販売車はキッチンカーと呼ばれるようになって、オシャレなオフィス街やイベント会場で見かける。騒音問題になるからなのか、音はない。私もうるさいのは嫌いなので、それこそ廃品回収車や竿竹屋にはイライラする。ただ、子どもの頃に聞いた移動販売車のあの音をもう一度、生で聞いて心躍らせてみたい。