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何冊分かの読書感想文
21Lessons / ユヴァル・ノア・ハラリでは「今、ここ」に焦点をあてた展望を主軸にしているが、厳密には「今、これから」意気込んだほうが腑に落ちるかも。
で、今、これからと言えば――
やれ「AI」
やれ「ビッグデータ」
やれ「アルゴリズム」
やれ「自動化・無人化」だの――
といったキーワードは避けては通れないわけですね。なにも精通する必要こそないし、新時代に合わせて何かに精通するほど学ぶ――つまり数年ごとに振出しにコマを戻すだなんて、そんな体力など誰にもありません。
ただ「今、何が起きているのか」程度の知識はあったほうが良いかもしれませんよね。
技術は日進月歩に進んでおり、今日では技術革新という言葉さえチープに聞こえてきました。あれ?こないだも革新してたよな?って具合。
我々一般人からしたら、目の前を未来が通り過ぎていくような疎外、無力、焦燥の感を覚えるこの頃ですが、案外これら感覚を覚えてる人はまだマシかもしれません。
これは本著冒頭でも語られていることですが、多くの人は家賃や車やローンに追われており、金策に奔走する忙しない日々の中で、学んだり、熟慮するに足るまとまった時間・機会を得られないでいます。
また、「まとまった時間」とは言わないまでも「空き時間」程度のそれらはGAFAによって半ば握られており、15分の隙間はスマホの通知を消化するために使われ、30分あれば友人の近況や、友人の素敵なディナー、友人の素敵な恋人や愛くるしいペットを眺めて、己の惨めったらしさに浸ることもできますね。
成人以降どの世代においても、およそ半数は読書をしない層である一方で、読書量を増やしたいと思っている層は過半数いるという統計があります。たとえ読むのが遅くとも1日1時間の読書、月4冊の読書で(悲しいかな)上位数%に入ることさえできるそうです。
しかしその1時間が読書に費やされることはありません。1時間あったらアマゾンプライムでアニメが2話も見られるのだから!
と、まあ「君の時間」や「君の視線」というのは、昨今の企業や商売人が「お金」に代わって君から搾り取ろうと躍起になる今アツいリソースであるからして、現代人が、積極性を必要とする「知的活動(笑)」でなく、得られる快感の即時性が高い受動的な娯楽に流れ、結果的に「忙しい、寝てない」とボヤくのは当然のことですよね。
それらサービスは、振り解くことにストレスを感じるほど、コンスタントに、パーソナライズされた形で、誘惑として顧客の脳内麻薬にアクセスしてくる。いやもうこれは企業が悪い!
最近、多くの書店でなぜか推されてる本(多分みんな見たことはある)
スマホ脳 / アンデシュ・ハンセン
ほーら食え、北欧のイケオジだ。
で、うろ覚えなんですが、最初の30ページ目くらいに点が1万個書かれています。これが人間です(暴論)
厳密に言えばホモ・サピエンスの1世代が、この点1個ということですね。アフリカ単一起源説におけるホモ・サピエンスはおよそ20万年前にアフリカ東部で誕生したとされているため、この点1つあたり20年、つまり1世代を20年としているわけで、1万世代の先端にあなたがいるんですね。サンキュー先祖!
で、ホモ以下略の来歴は以下で読んだよ。
サピエンス全史 / ユヴァル・ノア・ハラリ
我々人類は水道やテレビのある世界を、まだ8世代しか経験していないわけです。
コンピューター、携帯電話、飛行機がある世界は3世代しか経験していません。
SNSはと言えば、1世代――1/10000です。
少なくとも5000世代はアフリカに引きこもっていて、まだサバンナを闊歩しているつもりの脳みそ側にしてみれば仕事量増えましたよね。
だってインターネットがなかった全時代を通して一番の色男が一生のうちに見た裸の女体の数を、現代で最もブサイクな男性でさえ1分で上回れる時代なのだから。それは脳からしたら色んなソレを高頻度で分泌しなければならないわけです。
村人から「50いいね」という対価を得るためには、シカ狩りにでも出かけねばならなかった。
現代人はそんなことはしませんね。安全が確保された部屋で捻りの効いた格言や、嘘松、モンハンのプレイ動画をアップして300いいねを何度も得る。
ソロでマンモスを狩った男が村人から得た絶大な賞賛は数値化できないし、それを受けて脳が分泌した快感物質の量は想像することしかできないけれど、一つ確かなことは、その頻度は圧倒的に少なく、つまり手軽では決してなかったこと。
いや、快楽の源泉が手に収まっている時代の只中、それらに依存しないほうが困難でしょうよ。
意図的な行動によって制御しない限り、これらサービスから逃れることはできず、行く末のそれは火を見るより明らかです。
「お金」→「時間(君の注目)」と来て、「情報」が貨幣さながらに取引される時代がやってきました。さらにはが、多くの人は「時間(君の注目)」に取り残され、祈るようにスマホを握り俯いているのが現状かもしれませんね。
次に顔を上げたとき、世界では「情報」に次いで「あなたの生体データ」が収集・売買が本格的に行われているかもしれませんね。
知っている世界と異なっていたり、議論に参加した覚えもないのに物事が決まっていたり、恩恵を享受した覚えもないのに責任が生じている可能性があります。
そんな事態に陥らないため、また最悪でもパニックを起こさないために、今何が起きようとしているのか、を知っておいて損はありませんよね。
今夜もアマプラ見て寝ます。
続