イトシマメグル #4
玄界の恵み、昔も今もありがタイ!
糸島は食べものがおいしい。冬の糸島では、あちこちの漁港にカキ小屋が軒を連ねていると聞いたので、行ってみることにした。
たくさんのカキ小屋が並んでいる。殻付きのカキを、炭火で焼いて食べる。こんなに新鮮でおいしい魚介類を食べたのは初めてだ。
鯛漁をしながら、春から秋にかけて育てたカキをカキ小屋で出している漁師さんもいると聞いた。漁法の一つである吾智網漁(ごちあみりょう)は、円形の網の両端に引き綱をつけて包囲網をつくり魚を獲る漁法で、江戸時代から続いているそうだ。
糸島は天然マダイの水揚げ量が、実は何年も続けて日本一だったとうかがった。玄界灘は、大陸棚のミネラルや脊振山系からの栄養豊富な山水により豊かな水産資源に恵まれている。鯛漁は、1,000年もの歴史があるといわれ、江戸時代は福岡藩にも献上していたと教えてもらった。
縄文時代の遺跡である「天神山貝塚遺跡」や「岐志元村遺跡」では、無数の貝殻のほかに、アジやタイ、フグ、クジラの骨などが発見され、魚の骨を削った釣り針、石の銛(もり)やおもりなども出土したそうだ。昔の人もやっぱり魚を獲っていたんだ。
糸島に豊かでおいしい食をもたらしてくれる海の幸。こんなに海の近くに住むなんて、少し前には思いもしなかった。
日が西に落ちるころ、建ち並んでいるカキ小屋が店じまいの時間を迎えた。
後に残る潮騒。カキ小屋の奥に広がる海に潮が満ちてきたんだろう。縄文時代から変わらぬ波音が、明日の大漁を約束してくれている。
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#5 近日公開予定♫
DJ 栗田善太郎
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