あなたは文章を読めますか?
※この記事は速読の練習用として使えるように、太字部分を読めば1分程度で読めるように書かれています。ぜひやってみてくださいね!
「こいつ何言ってんの?」「馬鹿じゃないの?」
自分の言ってることを全然理解してくれない。そういったことから、こういうことを思ったことがある人は多いのではないだろうか。現実の世界はもちろん、最近ではネット上でこう思う機会が多いように感じる。
そういうときはつい腹が立って口調が荒くなったり、ストレスが溜まったりするだろう。
しかし、「世の中の約半分の人は文章を理解できない」こう聞くと、そういった人たちが多いことは全く不思議なこととは思えない、当然のことだとは思えないだろうか。
日本人の読解力
実はPIAAC(国際成人力調査)として、こういったことを調査したことがある。
これは「16歳から65歳の成人を対象として、社会生活において成人に求められる能力のうち、読解力、数的思考力、ITを活用した問題解決決定能力の3分野のスキルの習熟度を測定する」といった目的で行われた。
その結果はこのようなものだった。
この表だけを見ると、日本は参加国中1位と好成績だ。
そして、このレベル3の設問が「図書館のホームページにアクセスし、そのリストにある本の著者名を回答する」といったものだった。また、レベル4は「遺伝子組み換え食品に賛成の主張と反対の主張のいずれも信頼できないと主張しているのはどの本ですか」といったものだった。
これらは、検索して、書いてあることを答えればいいだけだ。そんなの簡単だと思うだろう。しかし、結果的には約3分の1が回答を誤った。レベル4に至っては誤答率が76.3%だった。つまり、‟日本人の3分の1が問題を正しく理解できなかった”といえる。
1位の日本ですらそうだ、他国ではもっと正答率が低く、先進国ですら約半分にまで下がる。
自分も文章が読めない
これを聞くと、‟文章を読めない人”ことが別に珍しいことではないことがわかるだろう。むしろ場合によってはそれが多数派ですらあるのだ。
そう思うと、そういった人と出会う、話すことがあるなんてのは日常の話であり、当たり前に起こる出来事だ。さらにネットでは調査対象外の16歳以下も多く存在する。
いや、むしろ‟そういう人と出会う確率”を求めること自体がおこがましいことなのかもしれない。自分がそういった‟読めない人”の可能性だって十分にあるのだ。レベル4に至っては誤答が8割近い。自分がその反対の2割に入っている。そう思い込むことがむしろ危険なのかもしれない。場合によっては「自分は8割側の人間だ」、そう思うことが大切だろう。いや、むしろその方が確立は高いのだ。
こういった認識を持っていれば、他人の理解力の無さなどに腹が立つことは幾分か減るだろう。だって自分もそうなのだから。
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参考文献
文部科学省(https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/data/Others/1287165.htm)
「もっと言ってはいけない」新潮新書(2019)著 橘玲