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「いたいのいたいのとんでいけ」の効用


※この記事は速読の練習用として使えるように、主に太字部分を読めば1分程度で読めるように書かれています。ぜひやってみてくださいね!


お子さんをお持ちの方は、子供がケガをした時などに「いたいのいたいのとんでいけ~!」といった呪文を唱えたことはないだろうか?子供がいなくても、自分が子供の頃にそういったことをしてもらったことはあるだろう。

しかし、これはただのまじないであり、気休めである、そう思っていないだろうか?

だがこの「いたいのいたいのとんでいけ」の効用には、れっきとした科学的根拠があるのだ。



痛みは触れると変化する

                                             痛みというのは、皮膚に触れることによってその感じ方が変わる。

誰でも痛い部分があると、その場所に触れるだろう。「手当」という言葉もこういったことから来ているとされる。また、犬や猫が傷を負った時もその部位を舐めるのを見ることがあるだろう。こういったことは傷口を唾液で消毒しているだけでなく、舐めて別の刺激を加えることによって痛みが和らぐことを本能的に知っているからだ。

いったいそれななぜ、どうやって起こるのか。1986年に心理学者のメルザックと解剖学者のウォールが研究を行った。

その研究によると、痛みを感じ、それが脊髄の神経を伝わり脳に到達するまでの間にはゲートがあり、ゲートが開かれているか閉じているかによって、感じる痛みの程度が異なるという。神経には触覚や圧覚を伝える太い繊維(A-beta繊維)と、痛みを伝える太い繊維(A-delta繊維)とがあり、これらに伝わる信号の相対的な強さの関係で痛みは決まる。触覚をつかさどるA-beta繊維は、A-delta繊維よりも速く信号を伝えて、痛みより先に脳に達するため、A-beta繊維を刺激すると、痛みを伝えるゲートを占める働きをするのである。こうして痛みは、痛みのある部位に触れることで和らぐのである。

そしてこれを「ゲートコントロール理論」と呼んだ。



「いたいのいたいのとんでいけ」は迷信ではない

                                               つまりは「いたいのいたいのとんでいけ」とは、「痛みのゲートコントロール理論」によっての痛みの軽減、そして痛みをどこかに飛ばすような動作によるプラシーボ効果(錯覚)、人に触れられているという心理的な安心感、これらによって、科学的に身体的な痛みを、痛みによるつらい気持ちを軽減させているのだ。

いたいのいたいのとんでいけなんてただの迷信だ、そう思ってか、気恥ずかしさからかわからないが、子供にそれをしない人もいるだろう。

しかし、こうしてちゃんと理にかなった行動なのだから、ぜひ痛みを訴えている子には「いたいのいたいのとんでいけ」を実践してみてほしい




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参考文献

「子供の「脳」は肌にある」光文社新書(2004)著 山口創


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