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「ストーカーレポート」第2話アキバメイドの悲劇⑰を更新しました。

 小説サイト「NOVEL DAYS」にて、「ストーカーレポート」第2話アキバメイドの悲劇⑰を更新しました。
 よろしければ続きは、小説サイトでご覧ください。

 メイド喫茶は初めてだったが、混みあっていた。
 ボサボサの髪で、格子柄の襟つきシャツを着て、メタルフレームのめがねをかけたヲタもたしかにいたが、女の子の客も多く、それが意外だった。メイドのコスプレがかわいい、ということなのだろうか。女の子のあいだでも、かわいい女の子が人気なのだろうか。客はメイドと楽しそうにしゃべっていた。
 メイドのコスプレをしたイルマがオーダーをとりにきた。ねこ耳をしている。似合ってはいたが、メイドとはべつものだ。
「メイド喫茶は、初めてにゃん?」
 私はうなずいた。「そうだ」
「どう? 楽しいにゃん?」
「というか、イメージだけで、心がない」
「心にゃん?」
 イルマが目を丸くした。
「私にとって、大事なのは、心だ。心以外に、興味はない」
 それは、本当のことだった。
 イルマはくすくすと笑ったが、私は笑わなかった。
「夜霧さんて、空気、読めないにゃん。というか、わざと読んでいないにゃん?」
「空気を読む必要など、ないのだ。ところで、女の子の客もけっこういるけれど、その子たちにも、お目当ての女の子がいるのか」
「いるにゃん」
「やっぱりかわいい子がいいのか」
「いろんな種類のかわいさがあるにゃん。それぞれのお好みにゃん」
 イルマが急に頬をふくらませていった。「なあに、ほかの女の子がいいにゃん? 私じゃ不満にゃん?」
「そういうわけじゃない。聞いてみただけだ。いろいろあって、面倒くさそうだな、と思って」


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緒 真坂 itoguchi masaka
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