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物語に成れなかった言葉たち。
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#現代詩

言葉の星座

言葉の星座

言葉 言葉 点 の よう
歪 な カタチ 繋がって

見えない カタチ 識らない カタチ
貴方 知らなきゃ わからない

私は ここ に いるのだ と
貴方は そこ に いるのだ と
星座 みたいに 私に 伝える

拙い糸 が途切れぬ ように
私と ワタシ  貴方と アナタ
振れない袖 は他人ばかり
例えば 交わること も無かったんだ

紡ぐ 繋ぐ 心が欲する
揺れる 解ける 波のように
連ねて溢

もっとみる
海月になるころ

海月になるころ

ひとつとり溢す度に、
水辺の波紋がへっていく。
年々呼応する音がきこえなくなった。
酷く静かな波だけがよる。
きっとそれだけで生きてしまえる、
単純な細胞でありたかった。

真綿の朝を迎えて、
緩む髪が流れて、
あたらしい今日を聴く。
足裏の地を感じて、
のしかかる時間を思い起こして、
浅瀬のそこで息を吐く。

くりかえし、くりかえし。
粛々と、くりかえし。
空気が薄らになる頃まで。
くりかえし、

もっとみる

表層二百メートルの水底

僕らはいつだって少しだけ、
息のしやすさを望んでる。  

大海は時として濁流のように、
此方の都合を見向きしない。

渦と、風と、砂と、鳥が
一枚の隔たりの向こう側で
方々に散る様を見上げる。

底の底、泡ぶくが溶ける様をおもう。
魚はあるがままに振る舞う。
藻屑は流れに身を任かせる。

どっちちかずの僕らは
羨んで憎むことすらできない。
とっくの昔に置いてけぼりで
満たせない胸腔は苦しさばかり

もっとみる

ささめく 礫 頬を穿ち
惑うこころは 愁い帯び
しとどの己 何処にも行けず
明けぬ空を 見つめてる

弾く水玉にため息を ひとつ
冷える手先になみだを ひとつ
戻らぬ時間にこころを ひとつ
さめざめ流して さようなら

目映いひかり 差し込んで
開けた窓を 飛び降りる
誰も彼もが 空を見る
澄みわたる青に 惹かれてる
墜ちた鏡の 想い知らず
#詩 #現代詩 #全読

灰殻

誰かの願いが降ってやまない

お腹がぐずぐず燻ってる

あなたのことばが欲しいのだ
私の内を荒らして去った、

素知らぬあなたが欲しいのだ

ここにあるのは深い溝だけ

あなたとあるのはこの溝だけ

どうにも悔しい気がするのは

きっと私だけなんでしょ

後にも先にも散らばった心を

拾い上げることすら出来なかった
今日という日を

忘れやしない

忘れるものか
#詩 #創作 #雑文

真心

真心を丁寧に丁寧に透いてゆく。

貴方に私が届かぬように
私が貴方に気づかれないように
薄く、薄く、薄氷を踏むが如く
丁寧に丁寧に透いてゆく。

脆くなった私のホントウ
どうか見つけないでくださいね。
砕け散って塵となった果てでも
追いかけないと誓ってよ。

紙のように引き千切って、
吹雪くさまを見せるから。