2023年木桶サミット その2 風土ある食のミッションが集う場所
Vol.011
無事に時間通り小豆島へ到着。
日本では大寒波が通り過ぎた翌日であった。
高松空港に降り立ったときは快晴であったが、フェリーに乗るときは半ば軽い雪が降り注いでいた。
お天気雨はいわゆる”狐の嫁入り”とも言われる。
では、お天気雪の場合はなんというか?
“たぬきの嫁入り”と言われるらしい。
そしてたぬきは、その特性である化かしで”他を抜き”という語呂にかけ合わせられるので、商売繁盛なども言われるらしい。
天候はイマイチであったとしても、そんなことで私は気分上々で小豆島へ入った。
2023年 木桶サミット参加
まさに2年ぶりに無事に木桶サミットが開催されるヤマロク醤油へたどり着く。
たどり着くや否や、受付でチェックインをする。
エントランスにはヤマロク醤油の山本さんと職人醤油の万太郎さんがいた。
なのでチェックイン前に挨拶をすると、山本さんが開口一番に、
「今日のトークでMCお願いします」 であった。
今回の私は、バラデンのビールのミッションがあるため、木桶サミットでのトークショーに参加する段取りがあった。しかしながらまさか自分がそのMCになるというのは想定外であった。
本来ならばバラデンのオーナー醸造家テオムッソが来日予定ではあったが、イタリアの仕事が多忙すぎるため、来日はキャンセルとなった。それが幸となしたが、急遽MCを勤めることとなった。
テオが来日していたら、私は通訳に徹しなくてはならないためできるわけがない。
なので、MCというのは想定外ではあったが、引き受けることとした。
木桶サミット トークイベント「木桶とお酒」
さらにまさか30石のサイズの木桶の上に座ってトークをするとは思っていなかった。
なかなか高いところが怖いお年頃ではあったが、マイクを握りしめ登壇することに。
参加者はすべて木桶や木樽を使用している酒メーカー。
この4名と私バラデンの5名でのトークショーである。
さらに言えば、木桶仕込みのお酒は日本でも古くからあるが、木桶でビールを仕込んだのはおそらくイタリアのバラデンが世界初となる試みであったので、私もなかなかなことを言わなければならないというプレッシャーもあった。
いや、おそらく趣味で木桶でビールを日本で仕込んだ人もいるというロマンを馳せて、バラデンが世界初という言い方は過剰であるので、欧州初と言い直しておいたほうがいいかもしれない。今のうちに。。。
木桶をテーマにそれぞれを語る懇親会
メンバーがメンバーだったので、それぞれのお酒と木桶もしくは木樽の可能性を語って、大変有意義なトークとなったと思う。
実際にその後に開催された試飲会では、身に染みるほどにお酒コーナーが人気であった。
そしてそこで知った剣菱さんの美味しさの底力!
来場してた酒造メーカーの寺田本家さんややまね酒造さんと絶賛だった。
日本酒メーカーもライバルではありながらも、お互いのお酒を認め合う姿などは、この木桶のイベントだからなのではないかとも思えた。
イタリアのブリュワリーも実際とても仲が良い。
お互いによく認め合いながら、そしてその個性を評価しながら横の連携を強め、イタリアにおいてクラフトビールの文化を作っていこうという一丸で集まる。
そんなイタリアっぽさも感じた日本酒メーカーとの会話であった。
小豆島のイベントにポツンとイタリアメーカーではあるが、それもすべて木桶というテーマで集まれたことに感謝である。
各ミッションが集うメルティングポット
メルティングポットはまさに人種の坩堝としてニューヨークを指し示す言葉ではあるが、まさに木桶サミットはそのメルティングポットに相応強い。
理由はさまざまな人が、それぞれのミッションを抱えてやってくるだ。
そしてそれをポジティブに展開していく素晴らしさがある。
味噌、醤油、日本酒メーカーはもちろん、それに携わる流通の人、小売の人、酒屋さん、居酒屋さん、レストランシェフ、ラーメン家店主、お米屋さん、料理研究家、発酵研究家、八百屋さんなどなど。
みんな木桶をテーマに自分のアクティビティを紹介し、そして報告し、時にはマッチングも叶えられる。
他、海外からの視察も多く、小豆島が国際的になる瞬間ではないかとすら思う。
来日していたフランス人は「小豆島を知っているフランス人はいない」とまで断言。
今回はそのマッチングに農林水産省までお越しになっていたから、木桶サミットはもはや国家レベルのイベントに成長しつつある。ここ小豆島で。
ともあれそれぞれのミッションがあつまり、融解するメルティングポットとなっている木桶サミットなのだった。
今年もとても楽しかった。
なぜ木桶なのかというのは、また後日に。
先に旅の記録をNOTEに進めておくこととする。