見出し画像

レシピは裏側~手綱を握るのはアナタ~

令和の時代においての料理教室では何が大事かといいますとおいしいレシピの分量ではないと思っています。

現代はある意味レシピには価値がなくなりつつあります。

昔は。。といっても20~30年前とかでしょうけどレシピは本が主流でした。もちろん新聞や雑誌での情報や料理教室に通って上達したりもあったと思うのですが現代よりも値打ちがありました。

今はSNSで大量のデータを無料で知ることが出来る時代です。近年ではさらにYouTubeでの動画による料理配信も普通になってきましたのでレシピの分量だけでなく作り方や手順さえもより詳しく誰もが知れるようになりました。

ここまで情報があると、ある程度料理が出来る方はSNSだけでも十分新しい料理が作れます。

料理初心者の方にとっては最終的な仕上がりの「味」だけは自分だけでは唯一想像できない領域であり必ず誰かから最終確認である「おいしい!」が必要となります。教室でも一番求められるのが舌による味の確認とおいしいの言語化です。料理の味わいかたや、おいしさとは何かといった説明があることで自分の料理の裏付けになりそれが自信につながるようです。教室を長年やっておりますとこういった意見をたくさんいただきますのでまずは味ということですね。過去の調理の現場でも全く同じでした。

どれほど才能あふれる後輩でもやはり最終的な仕上がりの味が分からないと作れないとよく言われました。料理はある程度基準値が自分の中に出来るまではまずは食べてみる必要があるのですね。ここら辺はプロも一緒です。

今年2020年は教室にとっても今後について考えさせられる時でしたからテクノロジーで料理の味がいかに伝わるか、これを信じて疑わなかったのですが笑

専門家の方にオンラインでの料理配信で味はともかく、香りが実際に届く仕組みは作れないのかという質問を真顔でしてみたところ、これまた速攻でいつか出来ればいいですね~と笑顔で交わされてしまいました笑

しかし、デバイスに香りの装置を付ければ限定にはなりますが匂いを出す仕組みはすでにあるらしいのです。しかしオンライン教室でカレーを作ってますということで相手側にカレーの香りが届くかというとこれまた別問題。。

当たり前かもしれませんが少し前の電話がなかった時代では例えば東京と大阪の距離でお互い会話が出来るなんてそのころはとても信じられなかったことで。。それが今は当たり前のように世界中にリアルタイムで通話が可能なんでそれを考えるとちょっとね、香りも期待してしまうのです。

出汁の香りと柚子の香りですよ~みたいな50年後が来れば興奮しますね。


話を戻してレシピです!


レシピの数値は料理の味の歴史

長年にわたっておいしいとされる黄金比率が構築されてきたのが今のレシピの数値です。しかしその数値が分かっても作り方のコツがわからないと絶対においしい形にならないのです。

最後は形です。おいしい形。

煮魚や煮物でも崩れてしまったら台無しです。

おいしくても形が理想的であることが料理は前提なんです。

インスタ映えした断面料理やタピオカドリンクの透明な容器も形のひとつです笑 すべていかに魅せるかが味の前に大事な要素ですね。

サラダでもおいしい盛り付け方という形があるようにやはりレシピの数値だけではなかなかどうにもならないのです。

料理教室ではその形を型といってますが、その料理の型を出来るだけ早く習得できるように仕組みを作っています。ここは僕の得意どころではあるのですがいかに受講生の皆さんがテンションを高く保ったまま帰宅して、そして自宅での復習につなげることが出来るか。これに尽きます。

教室は料理の物差しを作る場所です。

この物差しが自分の中にないと判断が出来ないからですね。

何をもって強火なのか、中火なのか。どれくらいが辛いのか、おいしいとは何なのか。煮るコツや焼く時の目線はどこか。食材や調味料の知識のことなどなど。どれもこれもある程度目安がないと迷ってとても疲れるんですね。

料理がある程度できる方はその物差しがあるのでそれを基準にして適当でもいいので作ることが出来ますがこれから学びたいという方にはやはりまずは目安となる物差しが必要です。自分の中の料理の物差しが出来れば卒業してもそれを基準として自分に必要なことが必ず理解できます。

レシピで大事なのは数値はもちろんですが、最終的には手順やコツです。

それを僕はレシピの裏側と呼んでいるのですが、ここを理解することが一番の料理上手の近道です。教室ではこの部分に特化して受講生の皆さんがなるべく早く上達できるように日々研鑽しています。

それを信じて僕は今まで教室を運営してきました。


美味しい料理ではなく、自分の食卓の答えを出す

今年2020年は自宅で料理を作り、食べることが多くなったと思うのでより家庭料理の意義というか自分の家庭に合った食卓の答えを出すことが必要になったのではないでしょうか。

今まで美味しいと思って食べていたものでもある日突然食べれなくなったり、食べたいけど我慢せざるを得ないということも多分にあるでしょう。

ご家庭によって考え方や年齢の違い、アレルギーやストレスなどの病気による食事の問題、食べすぎや運動不足、お子さんの好き嫌い、味の好みの問題など様々な食卓がある中で作り手はある程度の答えを出すことが求められます。


作り手が手綱を引っ張ることが大事です

食べ手にリードされてしまうと振り回されて大変なんです。ほんとに。だから作り手には美味しい数値(レシピ)よりも、ある程度の食べ物についての基礎知識が必要だと今の時代だからこそ思うのです。

その時の支えになるのが、まずはおいしいって何なのかという原点に戻る必要があると思います。

その際に正しい知識が目安となり、自分の食卓でのある程度の答えが出しやすくなるのではと考えています。


食事の制限とおいしさと


僕は職業が様々な料理を日々作ることを生業としているのですが、実は僕自身がかなりのアレルギー体質で制限がある食事を毎日続けています。

制限があるという考え方や症状なども人によって違うのですが、僕の場合は多種多様な食材を摂取出来ないということになります。

食べるとかなり症状が出てしまうので自分なりに徹底的に研究して自分専用の献立を作っていますが現時点で思うのは相当食材の知識がないと制限して美味しい料理を作ること、そしてそれを今後も続けていくという両立はかなり難しく、ある程度の知識というか目安、もしくは自分の考え方に合った人からの助言(書籍などでも)などが必要だと思います。

自分だけの経験値ではなかなか乗り越えることが困難であり、かといって助言をそのまま続けてもオリジナルではないのでどこかの地点で無理が生じて結果続かなかったり諦めたり、最終的には自分のためだけの編集作業が必要になります。

まずは真似して、そして自分にあった方法に改善していく。

これが大事です。

そういった視点から今後は料理のプロだからこそわかる制限のある食事法であっても、自分の理想の食卓を作るコツなどを書いていきたいと思います。

そのためにはまず「おいしさとは何か」が大事なんです。ほんとうに。

引き続きよろしくお願いします。





いいなと思ったら応援しよう!