一本のジュース
ある日曜日、夫と子どもたちが家の前の公園へ行った。小学1年の長男が自販機で買った一本の缶ジュースを手に帰ってきた。「何で勝手に買っているの?」と怒る私に長男と夫は戸惑った。自販機では割高で、家にもあるのにという思いからだった。
理由を聞くと、「お小遣いで買い、友達や弟と一緒に飲みたかった」と言う。お手伝いをし、お年玉をコツコツためた長男。お金の使い方は自由でいいはず。考えれば考えるほどモヤモヤが残った。
忙しい時、体調や気分でつい、子どもたちに決めつけ口調にもなる。「早くして」「ダメ」は言ってはいけないと思いつつ、口から出て後悔する。夜に布団に入り、1人反省会。冷静になる「ごめんね」という言葉が沸いてくる。
毎日、公園で元気いっぱい全力で遊び、お金も自分で使えるようになった。友達や弟のことも思える優しい心。「全部、花丸じゃないか」と思った。正解のない育児は本当に難しい。4月から新聞では「新・ドリトル先生物語」がスタートする。物語からも育児の新たなヒントをもらいながら、「育自」も楽しんでいこうと思う。
2021年4月7日 朝日新聞「ひととき」欄
担当:妻
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