No,60.ストカーの気持ち「ストカー気質について」
はじめに
多くの異性に好かれたい(モテたい)!
自分が気になる(好きな人)人に振り向いて欲しい!など、好かれたい理由は人それぞれだろう。
その思いが成就でき幸せな日々が過ごせるならば問題はありません。
しかし相手からの一方的な思いや付き合っていても別れが来た場合に拗れると最悪な日々を過ごすことになる。
『愛は憎悪の始め』ことわざにあるように、愛と憎しみは紙一重であることは多くの小説やドラマでも題材にされてきた。
娯楽であるドラマや文学などで収まっているだけなら問題はないだろう。
現実は悲惨な事件に発展する場合もあります。
ストーカ行為
令和5年1月16日に悲惨なストーカー事件がおこりました。
心理学知見から恋愛からストーカーに至る経緯について記述します。
背景
警視庁の調べでは、ストーカー行為等に係る相談件数は、1,262件で、前年に比べて522件(29.3%)減少した発表している(令和元年の時点)。
減少傾向とはいえ、2000年に施行したストーカー規制法後も悲惨な事件が後を絶たないのが現状。
※ストーカー規制法のきっかけになった「桶川ストーカー殺人事件」(1999年)は本当に悲惨な事件であった
古今東西、老いも若きも男も女も恋愛や結婚からの別れはある。
なぜ人はストーカーに変貌するのだろう?
ストーカー的行為を増大させる人のパーソナリティ特性としては、愛着不安や自己愛傾向の高さが言われている(Asada et al., 2004; Davis et al., 2000; Dutton &Winstead, 2006; Dye & Davis, 2003; Wigman et al., 2008)。
●愛着不安とは、自分が愛されている自信がなくて相手に見捨てられるかもしれない不安がある人
●自己愛傾向とは、やたら自分に自信があって自分大好き。その感覚を維持したいといつも思っているからこそ、自分が他人から否定されたら許せない人
たしかに個人的なパーソナリティー(人格)は要因も一つとしては考えられるが、それ以外に交際していた時の関係性や、別れた後の感情によってストーカー行為に発展する可能性も考えられる。
先行研究レビュー
ストーカー行為の心理特性を調べた研究をレビューします。
●対象者
過去 5年間に交際相手あるいは配偶者との別れを経験した人で、その中で相手から別れを切り出されたとする者,女性 106 人,男性 110 人の計 216 人(平均年齢 27.12 歳,SD = 5.46)
※フラれた人や離婚を言い渡された人を対象
●結果
♂ 男性の場合
パーソナリティ特性(愛着不安や自己愛性)とストーカー行為には関連がないとの結果が示された。
交際中に、「自分を本当に理解してくれるのはあいつだけだ!」と思っていた人は、別れた後も自分を受け入れる義務があると信じ込み、ストーカー行為に発展しやすい傾向があると考えられる。
♀ 女性の場合
女性の場合、パーソナリティ特性(愛着不安)がストーカー行為に発展する可能性が高いことが示された。
自己愛に基づき、「私だけが彼を本当に理解している!」と思っていた場合、相手から別れを告げられた瞬間に相手のことが頭から離れなくなり、ストーカー的行為に発展しやすい傾向があると考えられる。。
考察
【男性の場合】
「俺のことを本当にわかってくれるのはあいつだけだ」という考え方は、実際にはあり得ない。そもそも人間は互いに完全に理解し合うことはできず、自分自身ですら完全に理解することができないこともある(なんであんなことを言ったのだろうなど)。
自由恋愛といったように、相手が自分を受け入れるかどうかは相手の自由な思考や行動によって決まるものであり自分から相手に何らかの義務を課すことはできないと考えた方がいい。
また【女性の場合】では、
「この男のことを一番理解しているのは私だ!」という考え方は、現実には無理があります。
男性結果から述べたように、人間は他者を完全に理解することはできず、血縁関係にある親族であっても理解できない部分があることは自分を見つめ返せば一目瞭然だろう。
恋愛において相手を自分が理解していると考えることは、相手の独自の価値観や経験、人格などを無視してしまう恐れがあります。
相手を尊重し、互いに理解しあうためのコミュニケーションが重要です。
最後に
と述べているように大規模かつ慎重に議論する必要があると思う。
とはいえ、恋愛や結婚の多くは理論じゃなく感情だからこそ冷静にいられないのかも。
最後にこの本を紹介します👇
最後まで読んで頂きありがとうございました。
参考文献
金政祐司・荒井崇史・ 島田貴仁・ 石田仁・ 山本功(2018)「 親密な関係破綻後のストーカー的行為のリスク要因に関する尺度作成とその予測力」『心理学研究』89 巻 、2 号、 pp160-170