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火曜サスペンスで計る日常
なにが日常で、なにが非日常か。
簡単な言葉で言ってしまうと、いま、多くの人の価値観が揺り動かされているんだと思う。
以前の記事でわたしはこう書いた。
スーパーマーケットという場所は、
わたしの食や暮らしと直結している場所であり、
わたしの日常があり、
わたしの社会性があり、
わたしの物差しがある場所なのである。
今はそんな場所にも行きにくくなってしまった。
わたしにとってのスーパーマーケット
いつものスーパーマーケット
休日だというのに体力的にも精神的にもひどく憔悴しきった日があった。
さっさと家に帰ればいいのだけれど、それも違った。
家に帰って一人になったら、膝を抱えててそのまま暗闇に紛れ込み、二度と戻って来られなくなる気がした。
家はシェルターであり、家はひとりぼっちだ。
ふらふらと、ぼんやりと街を歩く。
頭が回らない、何も考えられない。
どこに行けばいいのだろう。
*-----*
するとどうだろう。
ある女の部屋について
Ⅰ、嘘つき女の部屋
ペティナイフ
使いかけのレモン
空瓶
小さく畳まれたハンカチ
花束の描かれた洗剤
漂白剤
ガラスの砂時計
透明なマニキュア
薄いレースのカーテン
中原中也の詩集
ペーパークリップ
ライター
Ⅱ、正直女の部屋
ホウロウのミルクパン
果実のかたちのお皿
イチヂクのジャム
新しいストッキング
乳白色の入浴剤
石鹸
待ち針
白粉
鏡
昔の恋人からの手紙
空っぽの箱
小石