【Xで注目】睡眠専門医がまじめに考える睡眠薬の本
概要
睡眠薬で不眠症が治らないのならどうすればいいのか? 多くの医師は不眠症の治療において睡眠薬しか選択肢を知らずに見よう見まねで処方をしている。スタンフォード大学睡眠医学センターで不眠症を治療してきた睡眠専門医の河合真医師が睡眠医学の知識と不眠症の特性をひも解き、「不眠症の治癒(=睡眠薬の中止)」に至るまでの考え方を解説する。
目次
著者・まえがき
1章 睡眠薬に関する問題を整理しよう
1.セット処方だからといって、睡眠に関する無知が許されるのか?
2.不眠症の評価方法を知らないで睡眠薬を処方するなど正気の沙汰ではない
3.睡眠薬処方の因果応報=「睡眠薬処方開始と処方中止が別の医師」という問題
4.「不眠症=睡眠薬で治療」では行き詰まるに決まっている
2章 睡眠ってなんだ?:睡眠と覚醒の本体
1.「睡眠」と「覚醒」の両方の理解が必須
2.正常の覚醒・正常の睡眠の生理とは?
3.シーソーのもう一方の側、睡眠を考える
4.REM睡眠の抑制機構を知っておく
5.抗うつ薬と睡眠とREM睡眠の微妙な関係
3章 睡眠ってなんだ?:睡眠と覚醒を動かす原動力
1.「覚醒」と「睡眠」を動かすもの
2.シーソーを動かす原動力 その1:概日リズム
3.シーソーを動かす原動力 その2:恒常性の睡眠ドライブ
4.スイッチメカニズムはどれほど強いものなのか?
4章 不眠症の何にアプローチするのか?
1.どの不眠症を治療するのか?
2.不眠症は、診断ではなく評価に時間を割く
3.睡眠薬では不眠症の要因に介入できない。ゆえに…
5章 睡眠薬の適応症:慢性不眠症における睡眠薬の役割を考える
1.「睡眠薬で不眠症のどこを治療しているのか」わかっていますか?
2.なぜ睡眠薬は効いて、そして効かないのか?
3.「とすね療法」とは? その功罪も知る
4.この本が勧める睡眠薬の分類法
6章 睡眠薬の適応症:慢性不眠症と主な睡眠薬についての詳説
1.ベンゾジアゼピン系睡眠薬が処方されている患者の断薬は要注意
2.オレキシン・ハイポクレチン受容体拮抗薬の特徴
3.抗ヒスタミン薬は処方箋のいらない睡眠薬なので知らないというわけにはいかない
4.SSRIはシーソーの中心と周辺に効くことが期待できる
5.メラトニン受容体作動薬はシーソーの外で働く
7章 睡眠薬の副作用は睡眠薬選択の大切な基準
1.睡眠薬選択で求められる思考ステップ
2.睡眠薬の副作用の考え方
3.持ち越し効果を考えると睡眠薬の選択はほぼこうなる
4.薬剤特異性副作用の考え方:転倒、健忘、パラソムニアなども要注意
8章 入院中での睡眠薬処方をどうすべきか?
1.入院して不眠になるのは当然
2.「入院患者」というカテゴリーに全ての患者をまとめるのは無理
3.不眠時頓服指示を出す前に一瞬で思考すべきこと
4.頓服指示を今出す必要があるのか?
5.睡眠薬処方の際は「不利益の最小化」を考える
9章 外来での睡眠薬処方をどうすべきか?
1.サクセスルートを辿る睡眠薬とは?
2.難渋ルートも考慮しながら中止を検討する
3.慢性不眠症なら3つの希望的な考えを捨てるべし
4.慢性不眠症で睡眠薬が中止できない状況の考え方
10章 睡眠薬の中止の方法:中止のための大切な下準備
1.不眠症を睡眠薬なしでどうやって治療するのか?
2.とにかく下準備が大事
3.中止したいのは誰? それはどのような誘因によるのか?
4.不眠症は目に見えない。それを見える化する
5.時間のかけ方、時間の認識の仕方がカギ
6.最後にゴールを設定する
11章 睡眠薬の中止の方法:中止に取りかかるとき
1.もし中止に失敗したら?=中止して不眠症が再発するのは当たり前
2.睡眠薬を中止して眠れなくなったら何をすればいいのか?(患者に丸腰では戦わせない)
3.具体的に何をやるかは患者次第
4.睡眠薬をどうやって中止するのか? 「漸減?」「頓服?」「断薬?」
この本の終わりに
編集協力・あとがき
Kファイル一覧
1.睡眠時間は人それぞれではなく、不眠症は人それぞれ
2.眠りの起源
3.臨床家の言葉
4.患者と長期間にわたって付き合えない状況なら、どうする?
5.とすね療法の功罪
6.非べンゾジアゼピン系薬を知らずに今どきの医師は診療できない
7.睡眠サプリメントが効く? 効かない?
8.睡眠薬の致死量と大量服薬について
9.新薬との出会い
10.J-POPと睡眠薬
11.睡眠薬の説明会の矛盾
12.不眠症、睡眠薬について勉強する意義
13.米国における不眠症の認知行動療法の実際