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ソーシャルシネマ

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映画を通して社会について考えられる映画(=ソーシャルシネマ)を紹介する記事を集めています。
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2019年10月の記事一覧

ドキュメンタリーは登場人物が少ないほど面白い?『イカロス』と『本当の僕を教えて』

ドキュメンタリーは登場人物が少ないほど面白い?『イカロス』と『本当の僕を教えて』

Netflix(ネットフリックス)のドキュメンタリーをいろいろ見ながらあーだこーだと考える中で、オリジナル作品で面白そうなものには「スリル」を感じられると気づきました。

そこで、スリリングな作品をピックアップしてみたのですが、

そのうちから2本『イカロス』と『本当の僕を教えて』を見てみました。

まず、どちらもすごく面白いです。最後までどうなるのか展開が読めず、ぐんぐんプロットに引っ張られてい

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「Netflixまとめ」はじめました

「Netflixまとめ」はじめました

映画は素晴らしいものですが、時代の変化とともに、視聴スタイルも製作スタイルも変わり、いまやNetflixの配信作品が世界的な映画賞を獲る時代になりました。

実際見てみると、Netflixには、オリジナル作品を中心に本当にいい作品が多く、多くの人に見てほしいと思わずに入られませんでした。

そこで、これ面白い/面白そうという作品を集めた「Netflixまとめ」を作ってみました。

1つはとにかく見

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芸術家はずっと不自由と戦ってきた。アンジェイ・ワイダの遺作『残像』が教えてくれる社会が芸術を必要とする理由。

芸術家はずっと不自由と戦ってきた。アンジェイ・ワイダの遺作『残像』が教えてくれる社会が芸術を必要とする理由。

芸術は大衆の要求を満たさなければならないそれが芸術の目的だ。

こんな言葉が映画『残像』に登場します。

『残像』は、ポーランドの実在の芸術家ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキを主人公にしたアンジェイ・ワイダの遺作で、共産主義時代のポーランドにおける芸術家の苦難を描いた作品です。

政治に翻弄される芸術家画家で大学教授でもあるストゥシェミンスキは、前衛的な作風で知られ、20世紀にポーランドを代表す

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知られざるブラジルの民主主義の栄光と破壊。『ブラジル-消えゆく民主主義-』から学ぶ権力との戦い方。

知られざるブラジルの民主主義の栄光と破壊。『ブラジル-消えゆく民主主義-』から学ぶ権力との戦い方。

(この記事は最後まで無料で読めます)

先日は『グレート・ハック』について書きましたが、その勢いで「映画:民主主義」という有料マガジンを作ったので、引き続きNetflixで民主主義について考える材料になりそうな作品を探してみました。

その中に、その名もズバリ『ブラジル-消えゆく民主主義-』という作品がありましたので、今回はそちらを取り上げます。

邦題を見る限りあまり面白くなさそうですが、邦題が

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【有料マガジン用】エドワード・スノーデンと「共謀罪」、プライバシーと民主主義ー『シチズンフォー スノーデンの暴露』

【有料マガジン用】エドワード・スノーデンと「共謀罪」、プライバシーと民主主義ー『シチズンフォー スノーデンの暴露』

Cover photo ©Praxis Films, ©Laura Poitras

せっかく有料マガジンの実験を始めたので、『グレート・ハック』に関連するような映画はないかといろいろ探していたら、2年前に『シチズンフォー スノーデンの暴露』で同じようなことを考えていたのを見つけました。

2年前の記事をそのまま読みたい方はこちらでどうぞ。

少しだけ校正したバージョンを読みたい方は、ご購入いただ

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あなたは平等な世界を望んでいない。映画『グレート・ハック』が明かす世界を分断する本当の犯人。

あなたは平等な世界を望んでいない。映画『グレート・ハック』が明かす世界を分断する本当の犯人。

(この記事は無料で最後まで読めます)

インターネット上に存在する個人情報がどう扱われているのか、誰もが気になることだと思います。今回取り上げる『グレート・ハック:SNS史上最悪のスキャンダル』(邦題がイケてないのはもはやNetflixのお家芸)は、マーク・ザッカーバーグがアメリカ議会の公聴会に呼ばれて話題になった、個人情報の流用問題がテーマ。

個人情報の流用が…というより、個人に紐付けられた情

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