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たんび
美味しいお店だと話には聞いていたものの、ちょっと敷居が高い、初見ではハードルの高いお店というのはやはりあって。
この韓国家庭料理のお店「たんび」さんもまさにそういう感じ。
店名はおそらく단비なのだろう、恵みの雨。
入口の前に立つと、中からは笑い声と大きな声の韓国語で会話する喧騒が聞こえてくる。中の様子が全く窺い知れないというのは流石に怖い。
ただ、入りにくければ入りにくい店ほど嬉しくなっちゃう質なので、それはもう構わず心の中で「たのもう!」という感じで押し通る。
お店の中に入ると更に騒々しくて、新規の客が入ってきたことも全く気づかれない。
ビールサーバーでジョッキにビールを注いでいた女性に「一人なんですが、いいですか?」と声をかけてみたら「あ、わたしお店の人じゃありません笑」と、厨房の中に声をかけて店員さんを呼んでくれた。
小上がりの座敷とテーブル、そしてスナックのようなカウンター。奥の方は宴会、というかやや薹が立った感じの女子会。
「土曜の夜は朝鮮のお客ばかりなの、うるさくてごめんなさいねぇ!」
メニューを眺めていたら、「お酒のツマミ、探してる?蛸の炒めもの、美味しいよ!いい蛸が入ったの。辛いの大丈夫?」
辛いの大好き、と答えると「それならこれおすすめ、春雨と混ぜて食べる。美味しいよ!」
じゃ、それで。とチャミスル飲んで待つ。
お通しがなんと三皿も出てくる。ナムルにブロッコリに海藻のなにか。更に後からキムチも来た。どれも絶品にうまい。うまいうまい喜んでとつまんでると、「これもどうぞ」と韓国海苔もくれた。
ほどなくして蛸の炒めものの皿が届く。かなりのボリューム。相当辛いのかな、と恐る恐る箸をつけてみたら見た目ほどでもない。言われたとおり春雨に絡めて食べてみると、これが超美味い!いやはや驚いた。
「どう?辛すぎない?美味しいか?」と心配しくれているのかしょっちゅう声をかけてくれる。
美味い美味いケンチャナヨ、ケンチャナヨと返事して、樽ハイをおかわり。
「私達も食事してるから、用があったら呼んでね!」といささかスキンシップ過剰の(やたら身体をさわってくる)オモニがテーブルに行ってしまったので、ひとりカウンターで美味い美味いと舌鼓。
いやぁ、満腹ですわ。ちょっと食べ過ぎたくらい。てかこれ一人前ではないよなあ。
チャミスルと樽ハイと角ハイ(全部同じジョッキ)でちょっと気が大きくなったので、チョギヨー、ケサンヘジュセヨーとさっきのオモニを呼んでみたら、お!っと喜んでくれた。
「お兄さん、どこで勉強したの?」
ソン・ガンホの映画で、と。冗談のつもりだったんだけど、うまく伝わらんかったみたい。ちなみにソン・ガンホの映画の中でベストは?と聞かれたら迷わず「グエムル」だけどな。
チャルモッゴスミダ!とお店を出ると「トマンナプシダ」という言葉を教えてくれた。「これ、また会いましょう、という意味ね」
또만납시다
いいお店だった。또 만납시다