日本ドラマ「カラマーゾフの兄弟」
主演:市原隼人、斎藤工、林遣都、吉田鋼太郎、滝藤賢一、松下洸平
2013年 全11話
いしゃーしゃ的オススメ度:★★★★★
(写真=FODフジテレビ公式サイトより)
テレビ放映当時に観て、ずっともう一度観たいなと思っていた本作。たぶん大好きな日本ドラマのベストテンには入る一本なので、年末年始にTVerで配信されて嬉しかった。もう二周目も視聴終了してから、だいぶ経ってしまったが、タイトルだけ書いて下書き保存してあった記事をちゃちゃっと書いてしまおう!
古典名作を原案とした実験作
原作は未読だが、大変有名な海外の、しかもロシア文学の重そうな、あまり他の国でもドラマ化されているのを聞いたことがない作品を、日本を舞台にしたドラマにするということで、どんなものだろう?と興味本位に当時観始めたが、とても面白くて毎週待ちきれなかったのを覚えている。
秀逸なキャスティング
もちろんストーリーもだが、なんといってもメインのキャストたち、今でこそ皆大人気俳優達であるが、本作放映当時は、私は市原隼人以外は誰も知らなかった。というか、今過去の出演作を調べたら、全員何かしらで本作以前に観ているはずなのだが、印象には残っておらず、本作で彼らの存在感に圧倒されてしまったのである。
上記の公式サイトのあらすじ、ドラマ未視聴の方は読むと「なんだか大袈裟だなぁ」と感じるかもしれないが、まず圧倒されるのは殺された父親役の吉田鋼太郎である。生前のとんでもない悪党の演技がとにかくすごいの一言である。
そして刑事役の滝藤賢一。不気味な表情で三兄弟に取り調べを行う様子がなんともいえずに嫌なやつで、こいつも殺してやろうかと思うぐらい役にハマっていた。
そして三兄弟の斎藤工、市原隼人、林遣都。三者三様性格が違い、彼らの持つ内面の苦悩、優しさといったものをうまく出せていて、とてもよかった。当時本作で斎藤工にハマったっけ。
確か2シーンくらいしかなかったが、吉田鋼太郎と林遣都が並んで出ると、「あれ、はるたんどこ?」なんて、今だから言えるが(笑)、当時はまさかこの二人が恋敵の役もやるとは思いもしなかった。
そして今をときめく松下洸平。最近の出演作は全く観ていないので、どのぐらいときめいているか実はよく知らないのであるが、ニュースで話題になっていて写真を見ても、最初はまさか本作のあの使用人役だったとは気が付かなかった。彼の演技も本作では大注目の一人である。
というか、どのキャストも本当に見どころ満載すぎるんだよな。
映像と音楽がたまらなくいい
それから映像。舞台は鎌倉らしいが、すべて”黒”を基調としている。家族の住む屋敷、街の雰囲気、バー、カラス、海など、白黒に近い暗い映像で、原作のロシア文学を彷彿させる、何か不吉な、ゴシック的な雰囲気が終始醸し出されている。
そんな舞台の背景に流れる音楽がまたとてもいい。詳しくは本作のウィキペディアのページにリストアップされているが、ハードロックとクラシックの名曲が毎エピソード、ふんだんに使われているのである。
印象的なのは最初と最後に使われるローリング・ストーンズの『黒くぬれ! Paint It Black』♫
ローリング・ストーンズはあまり好きではないので、知らない曲だったが(生まれてなかったし)、これがまたドラマの雰囲気に合っているのである。
それにこちらは私でも知っているニルヴァーナの名曲『スメルズ・ライク・ティーン・スピリット』♫
こういったハードロックの曲と交互にラヴェルやチャイコフスキーの楽曲も使われている。その組み合わせが、ゴシック風の映像の雰囲気にまた合っていて、ついつい聴き惚れてしまう。
本作のほか、フジテレビでは2018年の『モンテ・クリスト伯 -華麗なる復讐-』や2019年の『レ・ミゼラブル 終わりなき旅路』といったヨーロッパ文学の古典を原作として現代日本にアレンジして制作された実験的な作品がいくつか出たが、個人的にはどれもとても好きだった。あ、主演俳優がみんな好きだからなんだけどね。
原作を読んだ人には納得のいく作品なのかは分からないが、本作はドラマとしてはとてもいいミステリーに出来上がっていたと思うし、とにかくキャストがよかった。もうなんだかんだで10年近く前の作品となってしまうが、また10年後に視聴したとしても、きっと色褪せてないだろうな。