見出し画像

イタリア映画「Perfetti Sconosciuti」(おとなの事情)

主演、()内は役名:ジュゼッペ・バッティストン(ペッペ)、アンナ・フォリエッタ(カルロッタ)、マルコ・ジャリーニ(ロッコ)、エドアルド・レオ(コジモ)、ヴァレリオ・マスタンドレア(レレ)、アルバ・ロルヴァケル(ビアンカ)、カシア・スムトゥニアク(エーヴァ)、ベネデッタ・ポルカローリ(ソフィア)
2016年
いしゃーしゃ的オススメ度:★★★★★
(写真=Netflix公式サイトより)

久しぶりにイタリア映画を観た。いや、何年ぶりだろう。イタリア映画は好きではないのだが、今回個人的に“大人の事情”があり、鑑賞した次第。

事情って?
この映画の日中韓リメイクがあるというではないか‼️

いくつかのnoterさんの記事で日韓リメイクのレビューを読んだため、まずはオリジナルを拝見することにしたのである。って全然大人じゃない、フツーのミーハーな事情(笑)。
私は基本的にアジアの作品しか取り上げないことにしているが、今後アジアリメイク版の記事を書くかもしれないので、その準備段階として忘れないうちに例外的に書くことにした。

月食の晩のディナー会

今夜は月食だからみんなで鑑賞しよう!ということで、4人の幼馴染の野郎仲間達(今は立派なオッサン達)が、それぞれの妻も交えてディナー会をする。舞台はローマ、ディナーの場所はロッコとエーヴァの家。参加カップルは次の四組:

(1)整形外科医のロッコと心理カウンセラーのエーヴァ。17歳の娘ソフィアがいる。ソフィアは反抗期、彼氏がいるが、母親との仲が険悪。ロッコが料理担当。
(2)レレとカルロッタ。小さい子供が二人いるが、今夜は同居しているレレの母に子供を預け参加。自家製ティラミス持参。
(3)タクシー運転手のコジモと獣医のビアンカ。新婚ホヤホヤ。そろそろ子供が欲しいところ。25ユーロの赤ワインを持っていく。
(4)求職中の教師ペッペ。本当は新しい恋人ルチッラを連れてくるはずだったが、急に熱を出して来られないため、一人で参加。ワインボトルを二本持参。

スマホのメッセージ開示ゲーム

普通に近況などから話し合って楽しく始まるディナー会、ふとエーヴァが夕食の間にみんなのスマホをテーブルの上に置いておいて、届くメッセージやかかってくる電話の内容をシェアしよう!というゲームを提案する。
「別に秘密なんてないでしょ?」

ここで反対したら、あたかも自分が秘密を抱えているように見られてしまう。みんな納得してないながらもスマホを出すが、すぐにコジモのスマホにメッセージが!
「あなたが欲しい」となんともセクシーなメッセージが知らない番号から届く。新婚の妻のビアンカが「誰よ!?」と問い詰めるが、なんとロッコが娘ソフィアのスマホを使っての悪戯だった。
カルロッタに”STEVE JOBS”と登録されている人物から電話がかかってくる!誰だ、この男は?なんのことはない、コンピューターの修理屋であった。

最初のうちは他愛のないメッセージが届いたり、電話がかかってくるが、ちょうど月が少しずつ隠れて暗くなってくる頃から、それぞれに意味深なメッセージが届くようになり、お互いに懐疑の目を向け合うのであった。
そして、実は妻には知られたくない秘密があるレレが、ペッペに同じ機種のスマホだから夕食の間だけ交換してくれと頼むあたりから事態がとんでもない方向へ向かっていく。

スマホは人生のブラックボックス

この映画の標語は、
「我々には皆3つの生活がある:公的なものと、私的なものと、そして秘密の」
«Ognuno di noi ha tre vite: una pubblica, una privata e una segreta.»

スマホがなくてはならない時代となった今、これはまさに秘密の部分も含めたブラックボックスになってしまっている。イタリア語の原題は“完璧な他人、全く知らない人達”という意味だが(韓国リメイクの邦題が忠実)、たとえ夫婦でも、同居しているもの同士でも、いろいろな秘密がある。幼馴染で親友だと思ってた仲間にも、誰にも言えない秘密があった。ちょうど月食で暗くなっていくのと同時に、それぞれの仲にも暗雲が立ち込めてくる。
夫婦間だけでなく、親子、友人、仕事などでの様々な人間関係の様子が、いくつかのメッセージや電話のやり取りから垣間みられる。コメディで笑える部分もたくさんあったが、スマホ依存による人間関係のあり方を考えさせられる痛烈な内容のストーリーであった。

イタリアらしいユーモアやネタもたくさん盛り込まれたこの作品、主演俳優達も皆映画や舞台などでキャリアのある実力派ばかりでとてもよかった。現時点で世界で最もリメイクされた映画としてギネスにも載っているらしい。これから韓国と中国のリメイクを観てみるつもりだが(日本のもいずれ。ペッペ役を東山紀之がやるようなのでこれは観なくては!)、どんなふうにリメイクされているのか、とても楽しみである。ちなみに、まだ今年世界3国でリメイク制作中らしく、個人的に大いに興味があるのはカタール版である。“アラブ圏に合わせた内容”になるらしいが、どんなものだろう?

こちらはフィオレッラ・マンノイア(Fiorella Mannoia)が歌う同名の主題歌♬

韓国リメイクはこちら↓ オリジナルとの比較をしています。

中国リメイクはこちら↓ オリジナルとの比較をしています。

レバノンリメイクはこちら↓ オリジナルとの比較をしています。