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中国ドラマ「LOST IDENTITY」(孤战迷城)

主演:ホアン・ジンユー(黄景瑜)、シン・ジーレイ(辛芷蕾)、マー・シーチャオ(马思超)、マーユエ(马月)、ロー・チューユン(罗秋韵)
2024年 全40話
いしゃーしゃ的オススメ度:★★★★★
(写真=本作公式微博より)

久々の中国ドラマの記事❗️
自分的には毎日のように中国ドラマを観てるので、なんだかたくさんのドラマを視聴したような気になっているが、一本完走したのはなんと5カ月ぶりであった‼️
まあ、本作だって全40話。日本のドラマで言ったら4本分なので、4クール分なのである。

日中戦争末期を舞台としたスパイストーリー

日中戦争末期の1945年、日本軍は大量のガス弾を中国に密輸していた。 ホアン・ジンユー演じる軍令部のエース密偵オウ・シャオアン(欧孝安)は、捕虜として収容されていた日本軍の生物化学兵器研究所「810」から命がけで脱出する。体中負傷して気を失っているところを、シン・ジーレイ演じるチン・モーチン(覃墨卿)医師にに助けられた。しかし、シャオアンは目覚めると、4年近い記憶が抜け落ちていた。

シャオアンは、当時臨時政府が置かれていた重慶の軍令部に連れて行かれるが、そこで少しずつ記憶が蘇る。
断片的な記憶を元に、日本軍が企てている「チェリーブロッサム計画(落樱计划)」という生物化学兵器を使用する陰謀を暴いていこうとする。

しかし、誰が味方で誰が敵なのか?
シャオアンの本当の正体はなんなのか?
日本軍、国民党、中国共産党がそれぞれ重慶に送り込んだスパイたちが、チェリーブロッサム計画をめぐって暗躍していくストーリーである。

人物相関図。百度百科より


ホアン君は今度はスパイ

抗日ドラマなのか?

『ボーンアイデンティティー』のような出出し(記憶喪失のスパイ)で始まる本作、731部隊の実話をベースにしていると思われ、日本軍が研究開発している生物化学兵器の実験台に中国人を使い、その残虐さをアピールしている。
あー、これが噂の抗日ドラマかーと思って観始めたが、歴史に疎い私には、なかなか興味深い内容であった。

日本軍を代表するのはグオ・チュウチェン(郭秋成)演じる大橋和野(大桥和野)。日本軍占領下にあった上海で諜報部長を務めており、「チェリーブロッサム計画」を推し進めていた。

時々日本語を話すが、大半は中国語。

前半は上海、およびミャンマーとの国境近くにある「810」研究所における日本軍の実験や中国人捕虜たちの悲惨な状況が描かれる。

しかし、同時に描かれていく軍事委員会重慶局における権力争いがかなり興味深かった。重慶は当時、国民党の本部でもあり、日本軍のみならず共産党も目の敵としていた。そして、次の3人が重慶局における局長の座を狙って、狡猾に動き回る。それぞれに右腕となる優秀な部下を抱えているが、その部下が全員日本軍か共産党のスパイ。

現局長のウェイ・チンミン(魏清明)。実は部下は日本軍のスパイ。
ウェイ・チンミンに局長の座を奪われ、なんとも取り返したいウェン・イーシャン(文一山)。頼っている部下は共産党のスパイ。
フォン・ユーニェン(冯毓年)。娘をシャオアンと結婚させる予定だったが、彼が死亡したため、生化学技術者のリー・シャオタン(黎少堂)と婚約させる。

この3人が繰り広げる会話劇がなんとも胡散臭くて面白い。それぞれの策略をそれとなく匂わせ、あとの二人をいかに出し抜くかというのをしょっちゅう考えている権力争いが、うまく取り入れられていた。

日本軍が悪者なので、中国人が一体となりひたすら抵抗するのかと思っていたら、意外にも国民党と共産党の根強いいがみ合いが、実はもう一つのテーマだったのではないかと思う。

そして劇中では、共産党の諜報部員たちの活躍ぶりがかなり取り上げられており、主人公のホアン君も共産党のスパイなので、結局、最終的には共産党絶賛賞賛ドラマなのかなという印象を持った。

日本語とか日本文化、ちょっとなぁ(笑)

とまあ、政治的な背景とかそういうのはあまり興味ないので、このぐらいにして(笑)、ドラマとしてはとても面白かった。

本作の視聴目的はもちろんホアン君だが、もう一人見たかったのは彼、日本のスパイであるリー・シャオタンを演じたマー・シーチャオ❣️

劇中では父親が日本人の日中ミックスという設定。でも残念ながら、彼の日本語は聞けなかった。

前に視聴した、ジェリー主演のドラマで二番手としてコミカルな役だったが、今回は冷徹な日本軍スパイ役。でも彼がスパイと分かるのもかなりの後半部分で、前半では裏表ある役がなかなか魅力的であった。

本作ではホアン君と最初から最後まで真っ向から対決する役。

この食事のシーンが、二人ともカッコ良すぎてとても良い❤️

シャオアンはずっとシャオタンを日本のスパイだと疑っており、一度二人で日本食を食べに行くのであるが、いや、裏巻きとかお寿司って、この時代の中国で食べられたの??? 裏巻きってカリフォルニア発祥なんじゃないの???(笑)
とまあ、日本人が出てくる食事の場面は、料理はいつも裏巻きってのが笑えた。

極め付けはこれ。日本軍諜報部のドンみたいな役のチエ・ホーコ(千惠禾子)。日本軍に芸者さん風の人いたのかなぁ。。。一応劇中で日系アメリカ人なんだけど、なんかなぁ、現実味がないキャラであった。
彼女が出す料理は裏巻きの他、タイの鍋料理(壺みたいなのに入ったやつ)にしか見えないすき焼き(笑)。

この顔で中国語でガス爆弾を仕掛けることを命令する。

また、軍人などは日本人っぽくしてあるものの、彼らの日本語が〜_| ̄|○_| ̄|○_| ̄|○(笑)。
日本人俳優を出せとは言わないが、もうちっと日本語の監修があってもよかったんじゃないか。
まあ、あくまでも日本人が悪者で、共産主義の良さを中国人にアピールする作品だと思うので、日本人に見られることは意識していないのだろう。

ホアン君は相変わらず、アクションがかっこいい。スナイパー役は良かったなぁ(写真が見つからなかったのでこちら)。

ホアン君主演のドラマで、ストーリーとしても面白かったが、まあ、中国ドラマを好んで視聴する身としては色々と思うところもあるわけで。
そんなところはsparrow tearsさんが書いてくださっているので、こちらもぜひ読んでいただきたい。

こちらが予告編(公式ではないようなので削除される可能性あり)。