【不登校リカバリーCPC】26歳までに育てる力〜内なる親意識を整える②
自己紹介
こんにちは。インナーチャイルドワークとファミリーコンステレーションを基礎として、トラウマの癒しを提供しているハートエデュケーションセンターの代表、川村法子です。
この記事は、前回の記事の続きです。よかったら、こちらの記事から先にご覧くださいね。
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世界を拒否しない
さて、当然のことですが、誰もが生じた問題を解決したいはずですし、できれば白黒つけたいし、悪者はとっちめたいです。
そして、望み通りに問題が解決すると、なお嬉しいはずです。
だけど、問題は、白黒、善悪だけでは測れないことがたくさんあって、望む形で問題が解決するとも限りません。自分の感情や感覚を肯定しながら、事実をありのままに見て、拒否しないでいられる状態。
この在り方を、娘は、高校時代の部活動を通して、獲得することができました。
中学時代に、不登校を体験していた娘は、以前、聴覚セラピーを受けていたのですが、そのセラピストから、とても大切なことを伝えてもらっていました。
それは、「世界を否定しないこと」でした。
トラウマサバイバーだった私は、娘を妊娠中から産後もしばらく、夫との喧嘩が絶えませんでした。娘はそんな夫婦関係に数年間さらされてきたのです。過去に戻れたら、妊娠する前にトラウマ治療を受けたかった・・・と思うくらいですが、過去は変えようがありません。
夫婦間の騒音の中で、娘は当時、音を拒絶したのだと思います。そして、しばらく喋ることをしませんでした。1語文(みず、パン、おかし、などの単語)、2語文(みずちょーだい、など)はかろうじて話してしましたが、文章を話せるようになったのは、5歳の頃。右脳教育の幼児教室のサポートが大きかったです。(これについてもまたいつか話しますね!)
現在の英語教育では、シャドーイングという、聴いた音を発話することで飛躍的に英語力を上げていくやり方が推奨されています。
シャドーイングは、とにかくネイティブの発音を、聞いたまま的確に話すことをトレーニングするのですが、この理論は、「話せる音が聴こえる、話せない音は聴こえない」と言うものです。大学時代まで語学を専攻し、留学経験のある私にとっては、非常に納得がいくものです。
このことを踏まえて、過去を思えば、娘は、胎内から幼少期まで、世界に耳を閉ざしていたのだとわかります。そして、親である私自身がセラピーを受けつづけたことで、夫婦関係が大きく変わり、娘の耳に入る音も変わったのでしょう。5歳で右脳教室に通い、その2、3ヶ月後には、娘は長文を話し出しました。
そして、気がつけば、高校生になって、1時間もの劇ができるほど長ゼリフを覚え、舞台の上で、堂々と演技ができるまでになったのです。
中学時代に不登校を経験したことによって受けた聴覚セラピーのセラピストが、「娘さんは、世界を拒否しなくなったのだと思いますよ」と言ってくれた言葉が忘れられません。
部活のあれこれを乗り越えられたのも、思えば、こうした以前からの取り組みが影響しているのだと思います。
「内なる親意識」への信頼
一つ前の記事で書いた、親子3人で部活の問題について、具体的対策を考えたというようなことを、私は両親にしてもらったことはないな・・・と思いました。夫も同じことを言っていました。
私は、娘と同じ歳の頃、親に相談などできず、しても意味がないと思っていましたし、大人を信頼していませんでした。学校教師のことなんて、完全に憎んでいました。
つまり、私は、「内なる親意識」を全く信頼していなかったのだと思いますし、そもそも、自分を導ける「内なる親意識」なんて、育っていなかったのだと思います。
逆を言えば、娘が担任や副顧問と話ができて、新しい道を発見できたのは、娘が、自分の「内なる親意識」を信頼できたからでしょう。
子どもが成長すればするほど、親が立ち入ることができる問題は少なくなっていきます。高校生ともなれば、親が介入することはほとんどありません。
つまり、本人の意思決定する力、行動する力が求められます。これが、健全な自我の力であり、これをもって私たちは、社会へと出ていくことになります。
そして、もし、この健全な自我の力がなければ、社会とはまるで1人で戦場に立たされているようなものです。どこにも信頼できる人はおらず、武器もなく、いつ流れ弾に当たるか分からないという状態。
これでは、社会で成功するどころか、生きることすら難しくなるでしょう。
人生の早い段階の問題は、大人目線からみれば、小さなことです。高校2年生の娘の大きな問題は、言うなれば、“たかが部活”です。
中学校、小学校なら、もっと小さなことかもしれません。ですが、それは、子どもにとっては毎日を脅かすほどの大きなことです。
子育てにおいては、まずは、親が、子どもの「内なる親意識」のモデルとなるのだということを理解して、大人が思う「小さなこと」をほっておかずに、なるべく早く対応して、子どもの中に信頼できる「内なる親意識」を育てることが大切です。
残念ながら、親を助けようとしてきたサバイバーの私は、信頼できる「内なる親意識」は育たないまま、社会に出て、結婚して、子どもを持ちました。
そして、娘の異変で初めて、自分を癒すことへ目を向けました。もっと早くにできていたら・・・と後悔はありつつも、実際の子育てを通してしか、そのことに、私は気が付かなかったのだと思います。
過去のことも、これからのことも、起こることを深く信頼したいと思うのです。
ここまでのセラピーの道のりで、そんなことを思える私にも、信頼できる「内なる親意識」が育ってきたのだと思います。
注:2022/11/4 配信コラムをリライト
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