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独立系書店の楽しみ
本屋さんが好きです。
もともとの出不精と、現在の「忙しくしているけど、どの“労働”も、1円にもならない」状況が続いているせいでリアルなアクセスがなかなかできないのが悲しいのですが、最近の「本屋さん事情」には、胸ときめくものを感じています。
Amazonが代表する「ネット書店」の台頭により、街にあるリアル本屋さんが淘汰されてしまいました。
街を歩いていると、やはり本屋さんは必要だと感じます。
カフェが増えてくれたのは嬉しいけど、やはり、ふらっと立ち寄って本を眺めることができる、というのも、どうしても、人の精神には必要なことだと感じます。
その理由をまだ具体的には言葉にできないんですけども。
街から書店が消えていくのを悲しく思っていたのですが、最近少しずつ「独立系書店」というものが、全国あちこちに見受けられるようになっていますね。
わたしの地元、沼津では「リバーブックス」さんがありますが、Instagram や、note でも独立系書店さんのアカウントをフォローして拝見していますと、その増加傾向がはっきりわかります。
note にも「独立系書店」が多く存在しています。楽しいです。
独立系書店の面白いところは、やはり、ご店主さんのセンスが光ること。
大手出版社が派手に宣伝する、「売れ筋」の本は別に、それこそネットででも買えばいい。
でも世の中には「こんな面白い本があったのか!」というものが溢れているんですよね。
ただ、そういう個性的な本は、なかなか「売れ筋」のところには上がらない。
個性的というのは逆に言えば「一般的」ではないとも言えます。
「ありきたりではない」ところに本の面白さがあり、そういう本との出会いこそが、本屋さんに立ち寄る目的であり、楽しみではなかったのか。
一度、街角から本屋さんが消えた悲しみと虚しさを味わったあと、あらためて本屋さんに出会うと、そんなふうに思います。
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思えば街に書店がある時代でも、わたしはあんまり「ベストセラー」のコーナーとかにはほぼ、立ち寄らなかったな、ということを思い出しました。
本の背表紙を見ていくのが好きだったということは、平積みになっている本も、あまりターゲットにはしていなかったってことですね。
そうして興味を引かれる本を手に取ると、「世の中にはこういうことを主題にした本があるんだな」と感心するくらい「個性的」な本だったりするともう、それこそワクワクでしたね。
現在の独立系書店の場合、この「世の中にはこんなことを主題にした本が!」が凝縮された書棚になっている。そのように思うのです。
本は、その人の内面と直結している。
そんなふうに思います。
どれほど親しい友人であっても、あらためて、その人の本棚を見せてもらうと、いかにもその人らしい本とともに、
「えー、アンタこういうの好きだったの?」
「どこで買ったのこの本?」
と驚くくらい意外なものが「必ず」見つかります。
人間ひとりには多面性があり、また、深さもあります。
どんなに親しくても、それらをすべて知ることはできません。
それをあらためて教えてくれるんですよねえ——「その人の本棚」は。
そして独立系書店の場合は、ご店主さん自身が反映されるので、いやあもう、楽しい。
もちろんご商売である以上は、売れる、ということも重要なポイントでしょうが、それでも、大型書店にあるベストセラーコーナーをうろつくよりも遥かに濃密な「世界」との出会いが、そこにはある。
なんて書いていると、それでは、独立系書店とは、「相性」の合う合わないがはっきりしてしまうのではないかと思われるかもしれません。
が。
好奇心と、「知らないことを面白がる」精神がある人なら、個性あふれる書棚の中に、一冊も、興味を引かれる本はないなんてことは、あり得ないと思います。
この世は、自分の知らない楽しみで満ちているので。
こんなディープな世界があるのかという驚きが、独立系書店では凝縮されて存在している。
そのように思います。
また。
独立系書店のご店主には、自身が非常な本好きという特徴があり、「本を楽しみたいし、楽しんで欲しい」というお気持ちも強い傾向があります。
なので、本以外の楽しみ——飲み物など——を合わせて、本との出会い、本と過ごす時間を充実させる仕掛けがある。そんな書店が多いようです。
電子書籍の便利さはそれながら、やはり、本そのものを愛で、出会いを楽しみ、共に過ごす時間を楽しむ、書店独自の贅沢と喜びが、広く人々に浸透することを願ってやみません。
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