Isao Ando

山形県生まれ。高校で陸上部に入部。真面目に3年間走ったけど、ただ走りたいだけ走っただけ…

Isao Ando

山形県生まれ。高校で陸上部に入部。真面目に3年間走ったけど、ただ走りたいだけ走っただけ。レースに勝てないから、大学時代は走りたいだけ走ることにする。オリジナルで約200kmを単独で走り、女の子に引かれる。本が好き。山が好き。野生に戻りたい。

最近の記事

世界は美しいので、妬みと嫉みと時々僻む。

 10年間走らない間に、いつのまにかランニング業界は小粋になった。SNSにアップされる画像を見ると、小粋な男女が小粋な格好で、でもかなりハードに走ってる。  こんなに流行るのかい?しかもハードな方に流行るのかい?と当時のことを思うと戸惑うのだ。  走るためには、彼女なんかいらない!と見栄を切ってた大学時代だった。女の子と話せなくても、ランニングがあるさって、オリジナルのウルトラコースを作って、一人でチャレンジを繰り返してた。誰も振り向かなくていい、それでも走り続けること。

    • 足が速くなると、初恋の女の子が振り向いてくれると思っていた、という生涯かけた勘違いのはじまり。

       田舎だけかもしれないし、世代の関係もあるかもしれない。小学生の頃って、足が速いと女の子にチヤホヤされたりした。  小さい頃から足が遅くて、女の子にチヤホヤされる機会がなく、足の速い男の子を羨望の眼差しで見てた。    小学生2年の頃、なにをきっかけだったのか忘れてしまったけど、友だちとグラウンドに集まり100周走ることになった。何かができなくなって時間を持て余したんだったと思う。  学年の、といっても一クラスしかない田舎だけど、中心人物が、つまり女の子にチヤホヤされる側の男

      • 生きがいについて考えていない時に読みたいけれど、考えてないから偶然に身を委ねて読むしかない、『生きがいについて』

         大学2年の頃に初めて読んで、上京するまでに何度も読んだ、神谷美恵子の『生きがいについて』。  何冊かは人に貸し返ってこなくなった。何冊かはあげた。累計5冊は買っている。あの頃はもう5冊くらいは買うんだろうと思っていた。結局、妻にあげた『生きがいについて』が最後に買った一冊になった。もう20年近く前。それからしばらく読んでいなかった。  幸せだったから、っていう理由だけじゃない。そんなずば抜けたハッピー野郎じゃないしね。なんなら、人より妬みも嫉みも強いんじゃないかな。  数

        • 感謝ばかりしても幸せにはなれないよ、と教えてくれる小説

           上京して初めて住んだアパートは都電荒川線の庚申塚から歩いて5分とかからない場所だった。小さな路地を歩いてしか通れない場所に建てられたアパートは1階に二部屋、2階に二部屋しかない古びた風呂なしアパートだった。  初めて不動産屋と訪れたとき、大家さんは一階に住むおばあちゃんのために残してるようなものだから若い子が来るなんてね、と珍しそうに言った。どうせ誰も借りないのだから2階の二部屋は自由につかいなと、契約をしたときに大家さんは言った。しかし入居する頃には結局、韓国からの留学生

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          速さへの憧れと決別

           800mのスタートの合図が鳴らされた。スタンディングのセパレートスタート。第二コーナーでオープンになる。8人の走者たちは第二コーナーで良いポジションを取るため、短距離走さながらのダッシュでスタートする。  第二コーナー。走者が一斉にインコーナーへ入ってくる。細かなポジション争い。体幹の強いものは接触を恐れない。浮き上がった踵を蹴られてもぴくりともせず、スピードは安定している。  一方、瞬発力のある走者は詰め寄ってきた走者を一瞬で突き放し、ポジションを譲らない。瞬発力と体幹の

          速さへの憧れと決別

          今まで、そしてこれから。

          ずっと走ってきたといえば、走ってきた。 今まで、そしてこれから。 今までの記憶と、これからの生まれてくる記録を残すことにしてみる。 底辺を彷徨う陸上部時代、変人扱いされていたウルトラマラソン時代。 10年間の空白、復帰後の衰えと向き合う5年、これから。 5年前、ボルダリングをはじめた。それが大きな転換だった。 もう、何かのために何かを犠牲にしない。結果のためには何もしない。 生きるとは何か? 生きるとは息をすること。よく生きようとすること。よりよく生きようと挑むこと。

          今まで、そしてこれから。