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けがれた者達の歌 春雷

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春の季節に書いた 春の詩と物語の在り処
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#森

水鏡

水鏡

陽が沈む頃
黒髪の森の精霊が現れる

黒髪の精霊は
落ちた花弁と葉を
幾つか拾い

暗い森の奥へと行くのだ

森の奥に
鏡の様に
綺麗に夜空を写す
池があって

其の池に拾った花弁と葉を
浮かべるのだ

其の水鏡の池で起こる
波紋と
星と月、花弁と葉を
眺め見て
此の世の道筋を知るのだ

森

森の中で追いかけて
走り回って
見失って
置いて行かれた

何時だって月は遠くて

幻の様な月明かりを
手で触れるだけ

月が太陽を
手に入れたから
置いて行かれたのかな?と思い

風に「如何したら良い?」と
聞いても答える訳無く

ただ、ただ、
青い空を見上げ
雲の流れを眺めてた

春の目覚め

春の目覚め

春の精霊が
目覚めさせるモノの中に

冬の間、
冷たき風や雪に
埋もれたモノ達が居る。

不愉快な臭いと
醜き姿に変わった
不浄なるモノ達の目覚め

命果てたモノ共が
沸き立ち
森の中に
不愉快な
嗤い声と鳴き声が
風と共に森に響き渡る

春の精霊

春の精霊

森の奥深く
苔生した洞窟の中
春の精霊が目を覚ます

寝起きの春の精霊は
濡れた髪を掻き上げた時
暖かな
空気の流れを感じ

濡れた服や
自分の足を眺め見ては

「眠る時に
 雪に埋もれて寝れば
 寝坊しないと思ったのに」と

既に
溶けきってしまった
全身に残った
雪の雫を眺める

前回⤵️

化石の森

化石の森

化石の層が
何重にも重なり
時が過ぎ
風化し亀裂が入り

化石の層が
柱の様に
岩の様に
点在して残る

此処は風化の森

此処は化石の森

此処は石柱と岩の森

森の番人

森の番人

朽ちた木の幹から
現れる
無骨な小人は
森を守る者

木々や花を愛で
森を育てる
緑の番人

山が崩れ様とも
川が氾濫しようとも

剥き出しになった
土に新たな
種を蒔きく
緑の番人

森の妖精

森の妖精

気が付くと
森に迷い込んだみたいだ

道が細くなり
何時の間にか
獣道に迷い込み
先に進むと
迷路みたいで
川さえも
見つけられない

森の妖精が、
悪戯を仕掛けたのか
高い木々に遮られ
陽の方向もあやふや

周りは木々が
ザワザワと
風に揺れるだけ

精霊が去った森

精霊が去った森

春の精霊が去った
森の中

洞窟の扉の脇
緑の髑髏が
苔生した岩の上に
洞窟を守る様に
置かれている

樹海の奥

樹海の奥

朝の鬱蒼として
静かな
樹海の森の奥

霧に隠れて
花の密を
集めて回る妖精達

他の生き物達に
見つからない様に
静かに暮らしてる

木の精霊

木の精霊

森の奥深くに棲むは
木の精霊
動物達と遊び
鳥達とは唄う

偶に迷い込む人に
毒の有る
木の実を食べさせ
切り立った
崖へ誘い込む
それでも
生きて居たならば
幻覚を見せ
樹海へ

出口の無い迷路に
命尽きるまで
彷徨わせる

緑の番人

緑の番人

朽ちた木の幹から
現れる
無骨な小人は
森を守る者

木々や花を愛で
森を育てる
緑の番人

山が崩れ様とも
川が氾濫しようとも

剥き出しになった
土に新たな
種を蒔まく
緑の番人

蔦

森にある岩の上で
ぼんやりと
鳥や川を見て
柔かな風の中
景色を眺める

此処は居心地良い

いつからか
手足が蔦に絡まっていた

口も蔦に塞がれ
助けも呼べない

徐々に身体に覆い尽くす蔦

一晩かけ
全身に絡まった蔦で
朝日が登る頃には
身動き出来ない

もうこの場所から
動けそうにもない。