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けがれた者達の歌 春雷

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春の季節に書いた 春の詩と物語の在り処
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#綺麗

悪食

悪食

言葉を

指先で摘んで取っては

柔すぎて

千切れたりする

言葉を舌で舐め取れば

甘味が有る言葉

旨味の有る言葉

苦味が有る言葉

綺麗なだけでは
美味しくは無いな と

思うのだ

酔芙蓉の華

酔芙蓉の華

眼に視える

醜い心を排除して

其れで

綺麗になるとでも言うの

それ本当に綺麗?

よく見たら

つまらない物しか

残ってないと思わない?

それに

醜さも醜悪さも

持たない人なんて

見た事が無い

そんな神様みたいな存在に

人がなれると

誰も考えていないもの

月の扉

月の扉

月の扉は

撫でる様な

夜風を吹かせる

夜風に纏い憑かれ

身体には

夜風の匂いが染み付いてく

僕は綺麗な月に捕らわれ

月明かりに

視界を奪われるんだ

刃の錆び

刃の錆び

僕の持っている

錆び付いた刃の

斬れ味の鈍いさが

付けた傷

痛みを感じ

苦しんでいるのが分かるよ

傷口に刺さる様に残る

刃の錆びは

綺麗に拭い取れないだろ?

傷は治らないよ

直ぐに壊疽する様に

君の身体中に広がるんだ

月

月は何時でも

綺麗で魅惑的だよ

僕には月が遠くて

手が届かなくて

全然、

追い付けなくて……と思って

もう、月の唄は歌えないと

一時期…思ってたよ
#僕と月と過去との邂逅

硝子の器

硝子の器

透き通る中に
クラックが
模様の様に入った器も
キラキラと
輝いて綺麗だけど

探してるのは
此れでは無い

気泡がクルクルと踊る様に
入った硝子の器を
探しているのだ

硝子の底に
気泡の塊が
圧縮された物しかなくて…

また、来年気長に探すかな

森の妖精

森の妖精

森の木の影から現れ
暖かくなり
森の中を楽しそうに駆け回る
森の妖精

其れを見ていた
お化けの子

森の妖精は、お化けの子に

「じっと見てさぁ何か用があるの?」

と声を掛ける

お化けの子は

「君達の顔の模様が
綺麗だと思って見てた」

と、嬉しそうに答える
お化けの子

続き⤵️

黒き妖精

黒き妖精

綺麗な翼を持つ
鳥を狙って
仕留めるのは
小さき姿の妖精か

手に入れた鳥の
翼をもぎ採り
自身の背に付け
跳ぶ為の力を
手に入れた

鳥の翼を
身に付けし妖精は
負を纏いし
黒き妖精