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楽しく食べていただくために

☆食事介助☆

ご自宅や介護施設などで過ごす高齢者にとって、1日3度の食事は大きな楽しみです。しかし、健康上の理由による食事制限がある上に、噛む力、飲み込む力が衰えていると、口に運ぶ量を一歩間違えば、大きな事故につながる場合もあります。
せっかくの食事を楽しく過ごしてもらうためにも、高齢者のことを知り、正しい食事介助の手順を知る必要があります。
今回は、高齢者家族と一緒に暮らす人たちに向けた、安全かつ楽しく、美味しく食べられる食事介助の方法をご紹介します。

食べることへの意欲を阻害するさまざまな要因

私たちが普段何気なく食べている物でも、身体機能が衰えてくると、若いときと同じ量、同じスピードで食べることが難しくなります。食事介助を始める前に、家族は高齢者の特徴を覚えておく必要があります。

●顎力(噛む力)が弱くなる

歯で食べ物を噛み砕く力が弱くなり、硬い食品を食べにくく感じるようになります。その結果、軟らかい物を好んで食べるようになり、噛む力がますます衰えるようになります。実際にどのくらいの大きさ、硬さの物が食べられるのか、本人と相談をした上で与えられる食品、カットする大きさなどを決めるようにしましょう。

●だ液の分泌量が減ってくる・のどの渇きに鈍くなる

口の中で物を噛めば噛むほどだ液は分泌され、嚥下(飲み込み)作用を助け、体内に取り込まれたときの消化も助けてくれます。高齢者の場合、だ液の分泌量が全体的に減ってくるため嚥下に大きな影響を与えます。特にせんべいや干しいもなど乾燥してパサパサした物が飲み込みにくくなり、無理に食べようとするとむせ返すことが多くなります。また、入れ歯の間に食べた物が詰まると歯垢の原因にもなります。またその一方で、高齢者はのどの渇きを感じにくくなる傾向にあります。

●消化器官が衰えてくる

消化器官の能力が衰えてくると、食べた物が長い時間胃の中に留まるため胃もたれを感じやすくなり、その結果食欲不振に陥ってしまいます。食欲不振になるとますますだ液の分泌が抑制され消化作用を阻害します。
このように身体機能の衰えにより、食事を通常通りでは楽しむことができない場合があります。多くの人がそうであるように、食事を視覚、嗅覚、味覚など五感を刺激することで高齢者にも良い影響が生まれます。よく噛むことで脳が刺激・活性化され、だ液も分泌されるようになるため、口腔衛生も良化します。しっかりと食べることで胃腸の動きにも良い影響があるなど、高齢者にとって食事は楽しい時間だけではなく、身体機能を衰えを防ぐためにも非常に重要な行動なのです。


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