ドラッカー教授の生徒になることになった、、、アメリカMBA留学
会社の海外留学制度の社内選考に通ったのはいいが、ビジネススクールを受験するために必要なGMATテストの点数が伸びない。商社や銀行の一部には会社を休んで英語の勉強やアプリケーションの準備をすることが許されているところもあるが、私の会社は通常通りの業務、上司も気にかけてくれることはなく、残業も多かった。同じ環境の中でもしっかり勉強をしていた同期もいたので、言い訳にしかならないが、私はなかなか勉強の時間がとれず、GMATの点は低迷していた。
だんだんと焦ってきた。MBAの受験にも予備校があって、そこに通っていたのだが、クラスメイト達は点数を上げ、どこの学校に入るかという話題になってきていた。商社や銀行の優秀な人達は、トップ10しか許されていないこともあり、スタンフォード、ペンシルバニア、ハーバード、UCLAとか言っている。そんな話には入れないので、学校の名前ではなく、学んでみたい教授がいる学校、学校総合ではトップ10ではないが学科ごとのランクがいい学校で探すことにした。あとは、生活面で自分が住んでみたい地域から選ぼうと思った。本心ではトップ10に行きたかった。遠い将来のアメリカでの転職も考慮すると、トップ10以外はMBAではないという日本よりも強い学歴主義があるアメリカでの転職にトップ10の拍を付けたかったのが正直なところ。でもGMATの点が締め切りまでに良くならなかったのだから、仕方ない。実力に合った学校を探すしかない。いい教授と科目ごとのランキングで探そう。
勉強したかったのは、マネジメント、組織論、リーダーシップ。マネジメントと言えば、ピーター・F・ドラッカーの名前がすぐに浮かんだ。本もいくつか読んでいたので、馴染みがあった。まず、ドラッカーがどこにいるのか探した。何と、ビジネススクールを持っているではないか。Claremont Graduate Universityとある。当然ランキングも高く、私などには無理だろうと思った。しかーし、学校総合ランキングは50位近く、マネジメントという科目のランキングはもう少し良かった。GMATの足切りもあったが、私の点数でも何とかクリアしていた。そして、教授陣にドラッカーの名前がある。もう90歳近かったので、看板だけで教えてはいないのだろうと思ったが、一応学校に問い合わせてみた。何と、今でも現役で教えているというではないか!びっくりした。ドラッカー教授に直接教えてもらえる。それも人数が少ない学校なので、クラスに20人くらいしかいない中で教えてもらえるらしい。トップ10の有名教授のクラスは大人数になると聞いていたから、これはすごいことだ。
場所もちゃんと調べてみた。ロサンゼルス近郊の小さな町で、ドラッカー教授が永住の地に選んだとある。この時、同時にイギリスのバーミンガムという場所にある学校も考えていたが、ドラッカー教授の魅力には勝てなかった。あと、生活面では私はテニスをやるので、カリフォルニアという場所は魅力的だった。ドラッカー教授は、もちろんリーダーシップ、組織論という部分でも第一人者だったので、私の希望にピッタリだったのだ。
こうして、カリフォルニア州クレアモントという町にある、ドラッカー教授のビジネススクールに何とか合格し、留学生活が始まった。