お気持ち代
※長文ですが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。
9/10(日)人生初の「文学フリマ」
友人が出店するので、軽く覗こうか〜くらいの気持ちで参加。
せっかくなので、他のブースも見て回る。
パッと目に入り、気になった本があったのだが一度目は手に取らなかった。
友人の代わりに店番をしたり、隣の出店者さんの本までおすすめしたり、自由気ままに過ごしたのち、また会場をチョロチョロした。
「やっぱこの本、気になるな〜」
と二度目でやっと、手に取ったのが百万年書房さんの『自分思い上がってました日記』だった。
本の近くに置いてあった百万年書房さんのキャッチフレーズ(?)がとても良かったので、思わず声に出して読み上げてしまった。
「売れる売れない二の次で
かっこのよろしい本つくり
読んでもらえりゃ万々歳
そんな私は 奇者
人呼んで百万年書房と発しやす」
すると、代表の北尾さんは「声に出して読まれるとなんか、めちゃくちゃ嫌ですね」とニヤニヤしていた。
パラっとページをめくると
「がん腫瘍がありますね」と医師からフランクに告げられた。
とあったので、本を閉じ、北尾さんに聞いた。
「今も、がんの治療中なんですか?」
「10日前まで入院してました」
「え!? まじですか!! それで今、文フリで本売ってるの凄すぎますね。これ、いただきます。おいくらですか?」
「1,100円です!」
「じゃあ、お気持ち代として1,500円払います」
10日前に入院していたにも関わらず、関東からわざわざ大阪に来て、本を売っているその気概にお気持ち代を払わずにはいられなかった。
(しかし、なんでこんなパッとせいへんお気持ち代にしてん。2倍の2,200円とかにしたら良かったと、帰りの地下鉄乗り換え時に深く反省)
「えぇ!? じゃあ、この僕の家族の写真集もお付けしますね!」
「えぇ!? いいんですか? ありがとうございます! ……って、これ、1,500円以上になってませんか?」
「はい、でも大丈夫です!」
うわー、この人、粋な人やなぁ
損得に左右されていない感じ
こういうチグハグで、おもろいやり取り大好き
そんなこんなで、自分が思い上がっていたことを認めるという意味で「北尾」認印を表紙に押してもらい、娘の青さんの可愛いミニ写真集とともに受け取った。
帰宅してから「百万年書房 北尾さん」について調べると、結構凄い人だったと知る。
しかも、7/16(日)のブックマーケットで北尾さんが書かれた「いつもよりも具体的な本づくりの話を。」をイートプレスの中野さんから購入してたじゃないか!
何も知らずフラッと立ち寄った文学フリマで出会い、実は出会う2ヶ月前に本を買っていた。
しかも、昔、私が励まされた本の編集をされていた。
うーん、たぶん、これは偶然じゃないだろうな。
しかも、めちゃくちゃおもしろい人だったし、一見、ただの日記と思えるこの本もおもしろい。
何より嘘がないのが、とっても気持ちいい。
名指しで「こういう書店は時代から取り残されていくと思う」って書いちゃうあたりとか最高に好き。笑
おもしろい北尾さんがつくった本は、おもしろい。
結論、最初の数ページを読んで、この本を50冊仕入れさせていただくことに決めた。
(百万年書房から出た他の本も、随時取り扱う予定です)
全ページ読み終わった今、こうして文章を書いています。
わたしは普段、本についてSNSではあまり発信しないのですが、なんか書いてしまっています。
つまり、これを今、読んでくださっているあなたに読んでもらいたいと思っているんだと思います。
百万年書房を
北尾修一さんを
北尾さんの周りにいる方々を
みんなでつくった本を
読んでみてもらい、知って、あなたの人生が彩られたらいいなと思います。
ご注文は各種SNSのDMなど、お好みの連絡手段にて承ります。
タイトル:自分思い上がってました日記
著者:北尾修一
装画:大橋裕之
装幀:木庭貴信(OCTAVE)
仕様:A6 /並製/本文1c152p
定価:1,000円+税
※送料(おそらくこの本1冊だと180円くらい)
発行所:百万年書房
もし、冒頭の私みたいに北尾さんや百万年書房にお気持ち代を払いたくなった方は、この本の最後のページをご覧ください。
北尾さんへ
これからも気兼ねなく、北尾さんらしく本をつくっていただけると、とっても嬉しいです。
一本屋、一読者として応援しております。
また、何かの機会に一緒におもしろいことが出来たらいいなと思います。
今後とも末永くよろしくお願いいたします。
いろどり書房