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140字小説【満月の夜に】

妻の故郷の村には怖い言い伝えがある。満月の夜に、身の丈八尺もある手足の異常に長い怪物が、丸い口をポッカリ開けて人を骨ごとバリバリ食らってしまうと。椅子に座る妻にその話を振ると、心なしか肘掛けを握る妻の手に力が入ったように見えた。妻は肘掛けを握ったまま立ち上がり天井に頭をぶつけた…

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こし・いたお
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