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140字小説

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削って削って、磨いて磨いて仕上げた140字小説です。
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#小説

140字小説【取引成立】

僕はプロゲーマーだ。というのは名ばかりで、困窮する母親に寄生し、仕事もせずにゲーム漬けの…

こし・いたお
3か月前
7

140字小説【檻の中の憂鬱】

日の出からしばらくして人間がやってきた。ここは人間が鶏舎と呼ぶ場所。昨夜は隣の檻に住む仲…

こし・いたお
4か月前
4

140字小説【調べてはならない歴史】

私はマッチングアプリで知り合った男と会う約束をした。歴史を調べるのが趣味らしい。「私の好…

こし・いたお
5か月前
1

140字小説【スポットライトが眩しくて】

国語の授業で自由に詩を書いた。終業のベルが迫る頃、みんなの詩を読み終えた先生。先生は最後…

こし・いたお
6か月前
3

140字小説【増やしたい】

僕はホームのベンチに座り電車を待っていた。スマホを取り出しXを開く。そして投稿したポスト…

こし・いたお
7か月前
2

140字小説【伝えたい…】

学生時代の記憶が甦る。隣席の女子と些細な内容の文通をしていた。ノートの切れ端に書いて折り…

こし・いたお
8か月前
3

140字小説【奈落】

「垂らしてくれ…」詐欺師だった男は穴の上に向かって力無く呟いた。穴の底までロープを垂らす鬼。ロープの端を輪にし、片足を掛けると掴まった「上げてくれ…」ゆっくりと上昇していく。しかし地上まであと少しの所でロープを離す鬼。「ぐわっ!」「もう一度ロープを投げろ。俺を信じろ」ここは奈落。

140字小説【ぼくのファン】

ダムの建設現場で働くぼくは飯場で暮らしている。休日の前夜は親くらい歳の離れた爺ちゃんの奢…

こし・いたお
8か月前
3

140字小説【用途が違う】

「その鍋、私に売ってくれませんか?」愛用していた片手鍋の持ち手が壊れ、新しい鍋を買ってき…

こし・いたお
8か月前
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140字小説【弾けない】

私は娘を養うために人型ロボットの製造工場で働いていた。人のように会話し、指示すれば単純作…

こし・いたお
8か月前
3

140字小説【サクラ散る】

婚活イベントにやってきた私。「私を含めて十人しかいない。少なすぎる…」そう思っていると誰…

こし・いたお
8か月前
9

140字小説【知恵の輪のように】

妻はパズルが大好き。僕は結婚記念日に最高難度の知恵の輪を妻に贈った。知恵の輪を捻ったりず…

こし・いたお
8か月前
7

140字小説【そんな所が好き】

彼と人気のパン屋にやってきた。一番人気のカレーパンは彼の大好物だ。トレイに残る最後の一つ…

こし・いたお
8か月前
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140字小説【不良の山田】

私は沈む気持ちを制御できずにいた。朝からノートは白紙。もうノートをとる意味もない。隣席の山田は落ちこぼれで一匹狼の不良。次は化学。別室に消えていく生徒たち。なぜか山田は動かない。私は席を立ち窓へ近づいた。窓を開けると声が聞こえた。「なあ!おにぎり食うか?今日は一個多く作ったんだ」