溢れ返る異世界ものアニメに辟易している人に俺100を薦める理由。
タイトルからはその面白さを理解できないアニメは多い。
タイトルだけで面白さを表現なんてできないし、タイトルだけで面白いならそもそも中身を作る必要もないわけである。
その点、タイトルであまり多くを語らないスタイルのこの作品は、実際に一言二言で説明できない面白さがある。
物語の舞台は主に王道RPGゲームをモチーフとした異世界空間なのだが、大抵の場合、一度異世界に行けばそこで俺TUEEEするのが様式美だ。
たまに現実世界に戻ってきたり、異世界は2度目です~ってパターンもあるが、それはあくまで異世界無双という基本構造に対するアンチテーゼに過ぎない。
しかし俺100の場合は、この異世界攻略というものを10回繰り返すのである。
最初は一人で簡単なクエストをこなす。
周回毎にメンバーが一人ずつ増え、主人公の少年は3周目にこのクエストに加入する。
この構造はもはや、異世界無双という基本構造に対するアンチテーゼという単純な図式では解釈不能である。
なんでそんな設定にした?というこの”謎さ”が、このアニメにハマらざるを得ない最大の理由だ。
しかしこの10周するという設定が、視聴者にとっては絶大な安心感を生むのだ。
10周しないと解決しないのだから、この周回ではさほど深刻な事態には陥らないだろう。
どんなに目の前でキャラクターたちがピンチに陥ろうと、冒険の大前提としての10周。
これがどうしても重く頭にのしかかってくるのである。
終わりは明確に示されている。しかし気軽に手の届くところでは決してない。
この絶妙な距離感のゴール設定が、キャラたちが陥るピンチ的状況に対するハラハラ感と、でもそれをクリアしないとどうしようもないよな~という妙な安心感という、癖になる感覚をもたらすのである。
つまりこれは、課題解決能力の開発を目的とした、社会人研修アニメともいうべき実学に基づいた実践的アニメなのだ。
現代社会の忙しさにちっとも疲れていない、今どき珍しい稀有なバイタリティ溢れる有能な若手諸君、是非このアニメを見て日々の問題解決に役立てて欲しい。