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(無料)起業日記1日目:薬剤師、起業する。 #iroka
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薬剤師、起業する。
いよいよこの時が来た。
今までずっとずっと後回しにしてきた私の夢。
それを叶える時が来たのだ。
私の夢、それは起業すること。
ずっと安定した職業で、会社員。
守られた生活。
恵まれた人間関係。
やりがいのある仕事。
感謝され頼りにされる日々。
特に何か不満があったわけではない。
いや、心の底では不満を感じていたのかもしれない。
それを見て見ぬふりをして、押し殺していたのだ。
私は自分の力で、自分の城を作りたかった。
「あやちゃんは、一番いい職業についたね。」
「女の子には最高よ。」
「賢い選択したわ。」
これは私の母と祖母の口癖だ。
私は会社員で、新卒から入社して9年目。
中規模の調剤薬局で働いている。
役職としては、管理薬剤師で店長。
下の子たちには頼りにされ、上司にも可愛がられて、
働き方も超絶ホワイト。
なんの文句もない職場環境だ。
しかし、私は自分の中でずっと燻る思いを持っていた。
「ずっとこの暮らしなのかな」
この考えは誰しも一度は通るのではないだろうか。
ずっと変わらない日々が続き、毎日が繰り返される。
そう、私は日常に飽きてきたのだ。
何も不満はない。けれど面白さも感じられていない。
もっと心が躍るような、体験したことのない何かをしたい。
もっと自分の力で何かしたい。
もっと自分でいいと思ったことを形にしたい。
もっといろんな世界を知ってみたい。
もっと、もっと、世界を楽しみたい。
もっと。もっと。もっと。もっと。
そんな思いが湧き上がってきた。
ちょうど薬局で経験出来ることは一通り経験出来たので、次のステップをどうするか悩んでいる時期でもあった。
「次のステップ考えてる?マネジメントに興味ない?」
人事考課の面談の際に上司からかけられた言葉が頭を巡る。
薬局では楽しく働けている、周りの人にも恵まれている。
でもワクワクしなくなっている。
薬局で出来ることは限られているし、なにかしたくて提案しても会社はなかなか重い腰を上げてはくれなかった。
じゃあ、私は何がしたいのか。
薬局という括りを取り払って、したいことは何なのか、
そこを考えた時に「起業」という文字が頭をよぎった。
実は起業はずっと頭の片隅にあったのだ。
私の家系は周りに起業して自分のやりたいことに進んでいる人が多く、
「私もいつか起業したいな。」
という気持ちは持っていた。
しかし、自分にそんな決断をする勇気はなく、ただ月日だけが流れていたのだ。
周りに起業している人が多いというのは、起業で苦労するという事も知っている。
だからこそ、母や祖母は薬剤師で会社員である事に安心しているのだ。
けれどやっと私自身も覚悟を決める時が来た。
私がしたいこと。
私が憧れていたこと。
私が好きな事。
それはスキンケア商品の開発。
薬剤師はもちろん医療者のイメージが強い。
しかし大学では化学をメインに学び、化学構造がどうやって人の体に影響を与えるのか。医療の知識に化学を合わせて学んできた。
大学で薬学部に入学時には薬剤師は化学者と教えられた。
私自身は医療者になるつもりで入学したので、その言葉が衝撃で印象に残っている。
そして、なんだかかっこいいと思ったのだ。
それからというもの、私は自分が買う商品も裏面を確認して、どんな成分が入っているのか気になって、見るようになった。
コスメストアやドラッグストアで裏面とにらめっこしている様子は、店員からしたら不審だっただろう。
何かお探しですか?と聞かれることが多いが、できればそっとしておいてほしかった。
成分を見るのが好きなのだ。気になってどれがいいのか比較してしまう。
そこで気づいたことは、口コミや雑誌、広告はあてにならない事。
この商品オススメって書いてるけど、成分表見たらあんまり・・・。
なんてものも多い。
なんでオススメ?本当に?なんて思ったことも。
だから納得できないなら、納得できるものを自分で作ればいい!
起業するなら美容製品の開発!と心に秘めていた。
新たな一歩はコロナから
決めてからは早いのが、行動力に定評のある私。
開発商品をフェイスパックに決めて自分の商品開発に取りかかった。
なぜフェイスパックにしたかというと、
フェイスパックは好きだが、売られているのはほぼ韓国製品。
コロナでエステに行けない時にもその代わりに使えるような物が欲しいなと思っていたからだ。
やはり、自分が欲しいものを作りたい。
私は貼っておくだけで美容になるフェイスパックが好きなのだ。
特になにかするわけでもなく、貼ればよい。
なんて便利な美容。
そしてコロナが自分の起業の後押しになったことは間違いない。
なぜなら時間が恐ろしく出来てしまったからだ。
仕事は18時に終わるし、帰ってきても緊急事態宣言があるから出かけられない。
家で何をする?って本当に暇だった。
趣味は旅行だったから、趣味も封じられた。
無駄に凝る料理を作っても、一人暮らしだし、消化しきれない。
先述の通りエステにも行けない。
そんな暇を逆手にとって、自分のやりたいことにギアチェンジしたのだった。
今は自社のフェイスパックを開発中でOEM業者(商品を実際に製造してくれる会社)と製品(フェイスパック)の処方を試作している段階。
来年の頭にはサンプル品を作れるよう、フェイスパック販売に向けて動いている。
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右が私
コスメを開発したいだけなのに
この思いから始まったのだが、実際は他にもすることが盛りだくさんすぎる。
正直こんな雑用もかと思い悩む日々。
こんなことでいいのか?
何も知らない私にとっては、手探りで進む毎日だった。
そうなんや!?って感じることがいっぱい。
会社員で働いてるときは感じないことや、知らないこと、めんどくさいことが山積み。
私の場合は全部自分でやろうとしてるから余計かも。
ブログにInstagram、Facebook、Twitter、SNSは一通りやった。
元々SNSに興味がなかった身としては、よく頑張ったと自分で自分を褒めてやりたい。
そもそもなぜ薬剤師を目指したか
その要因の大きな一つは家庭環境だ。
私の親は離婚しており、母と祖母に育てられた。
その暮らしの中で、
母は私に『一人で生きていけるように、手に職を持ちなさい』
とよく言っていた。
母自身もたくさん資格を取っていたが、それだけで暮らしていけるものではなく、趣味の延長の資格ばかり。
その経験からも、なにかこれ!という資格を持って欲しかったようだ。
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その言葉を小さいころから聞いていた私は、
『手に職を。資格職につく。』という目線から将来の職を考えた。
中学生の頃は、弁護士。
その時に流行っていたドラマが弁護士だったから。
私は単純な性格なので、その時に興味があるものにすぐ惹かれるし、かっこいい!と思うタイプ。
しかし高校生になり、理系と文系で別れるタイミングで明確な希望がなかった私はとりあえず、理系にいけば文系も選べるという自分に甘い選択ををした。
文転は出来ても理転はなかなか難しい。
高校生の頃は明確な目標もなく、勉強が嫌いだった。
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なぜなら母の再婚相手がどれだけ勉強しても怒ってくるから。
反抗期真っ只中で逆に勉強したくない!って状態だった。
今思えば馬鹿らしい理由。
勉強しなかった時間がもったいなかったと後悔もある。
それで高校生は勉強全然せず、だらだらと過ごしていたのでもちろん浪人。
医療系の資格を取って手に職を。の気持ちはブレなかったので、浪人した際に医療倫理の授業を受けた私は一つの定義を学んだ。
「人の健康とは肉体的・精神的・社会的に満たされることで健康である」
この言葉は私の中で医療をより興味深いものにした。
健康とはただ、体が元気なだけではない。
精神的な安定、周りとの関わりが満たされること。
病気を病気とみるのではなく、病気で悩む心を救い、病気で孤独に陥ることを防ぐ。
「人を人として守る」その考え方に強く惹かれた。
だから医療系の中でも患者さんに近くすべての科でいろんな病気に向き合える、薬剤師を目指すことに決めたのだった。
そして薬局なら、内科・外科・精神科・産婦人科・小児科・皮膚科・etc...
すべての処方をみることが出来て、子供からお年寄りまで様々な方と触れ合うことが出来る。
ゆりかごから墓場まで患者さんの生活に近くトータルで人生を良くするお手伝いが出来る。
その面白さに惹かれて薬剤師を目指したのだ。
第1話 完
裏話
コスメ開発は女性なら考えたことがある人もいるのではないでしょうか?
起業に興味がある方、美容に興味がある方、薬剤師で自分の働き方を見直している方、そんな方のために起業日記を書こうと思いました。
かっこいいことを書きましたが、もちろん自分が後で振り返った時にも役立つと思っています。
自分も起業したいけど、どうやったらいいかわからないという人にも起業までの流れをわかりやすく、詳しく綴っていくので楽しんでお読みください。
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フェイスパックを発売するに至るストーリーをアップしています。半年間かけた、素材の決定や処方内容の試行錯誤、試作、デザインなどの開発の流れを掲載しています。一度ご覧いただいて、irokaの事を知っていただけたら嬉しいです。👇
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ボディクリームを開発!
希少なロバミルクを高配合したボディクリーム。
ロバミルクの配合量はどうしてもこだわりたかったポイントです。
潤ってしっとりふんわり、思わず触れたくなる肌に。
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初めての展示会を開催して、本当に可愛く出来たのでたくさんの方に見て頂きたくてYouTubeを撮りました!ぜひご覧ください♪👇
Posted by Iroka2021 on Wednesday, December 22, 2021
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美容薬剤師の起業日記
薬剤師は安定安心の職業です。 その立場から一歩踏み出し、美容薬剤師としてコスメ開発の起業を選び右往左往する様子を綴ります。 初めは右も左も…
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