チョコとクリームで英気を養え
ショッピングモールに行くと、ついつい引き寄せられる甘い香り。
それはクレープだ。
甘い生地に包まれた、ホイップとバナナ、チョコレートソース。
チョコバナナクレープを初めて食べたのはいつだったか。
世の中にはなんて美味しいものが存在するのだろう、と思った。
それからしばらく、小学生の私はクレーターといえばチョコバナナを推していた。
大人になってからも、折に触れクレープの誘惑がある。
しかし、クレープ。
君は案外、お安くないのだよ。
そんなわけで最近は、クレープを自作することがある。
クレープ生地を焼き、業務系のスーパーで手に入れた泡立て済みのホイップを絞る。
ホイップを絞る位置は、店員さんの手元をよく眺めていたから習得済み。
カットしたバナナを並べ、仕上げにチョコソースを斜めにかける。
このチョコソースがあるかないかでグレードは全然違う、と思っている。まぁ私の場合です。
クレープショップの店員さんを思い出しながら、生地をたたんでクルクルまく。
さぁ出来上がり！
ホームメイドのクレープは、誰も見てない家の中。
大きな口でパクっと頬張れば最高の気分。
ああ、家でこれが味わえるなんて！
そんな幸せを味わえるのだ。
さて。
クレープを作ったところで、ホイップやチョコソースはまだ余っている。
ここからがお楽しみの続き…いや、本番かもしれない。
＊＊＊
お外のカフェに行くのもいいが、出かけるのも寒い一月のある日。
午後三時の時計を見て私は動き始める。
大きめのグラスに、コーンフレーク、チョコソース、ホイップ、カットしたバナナ。
重ねていったら、もう一度繰り返し。
仕上げにホイップを盛り、チョコソースをおしゃれにかけたら、簡単なパフェが出来上がる。
いつもはインスタントのところ、ドリップコーヒーを丁寧に淹れる。
動画サイトでカフェミュージックを選ぶ。
ランチョンマットを敷く。
コーヒーとパフェを並べる。
もう、優雅なカフェタイムの始まりだ。
コーヒーの苦味を味わい、甘いパフェを頬張る。
バナナの優しい味、チョコレートのビター。
ザクザクしたコーンフレーク。この食感が好き。
数口食べて、目をつむる。
はぁ、幸せ。
余りものや常備品で構成されているのに何たる幸福感だろうか。
そんな大げさなことがちらりと頭をかすめながら、私はオリジナルパフェのカフェタイムを楽しむ。
そんな今日は冬休み最終日。
明日からは仕事が始まる。
チョコとクリームで英気を養い、私は明日からの日常を頑張っていくのだ。