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姉様にふさわしい存在になって……ずっと一緒にいたいんだ|ライトノベル『わたくしのことが大嫌いな義弟が護衛騎士になりました 実は溺愛されていたって本当なの!?』


「ウィレミナ。今日から君の弟になるナイジェルだよ」

『わたくしのことが大嫌いな義弟が護衛騎士になりました 実は溺愛されていたって本当なの!?』第1巻

公爵令嬢のウェレミナが父に“弟”のナイジェルと引き合わされたのは、彼女が8歳の時。

「弟、ですって?」
「そう、事情があってね。彼を引き取ることになったんだ。弟と言っても、君より数ヶ月誕生日が遅いだけの同い年だ。ウィレミナはいい子だから、仲よくできるよね」

『わたくしのことが大嫌いな義弟が護衛騎士になりました 実は溺愛されていたって本当なの!?』第1巻

ウェレミナは、その“事情”をすぐに察した。
お茶会で聞いたことがある、“浮気”とか“愛人の間の隠し子”とか、――つまるところ、そういうことなのだ。

この子は、父の不義の子なのだ。

雪のように真っ白な肌。少女と見紛うばかりの、愛らしく整った顔立ち。空のように青く澄んだ瞳。窓からの明かりを弾いて煌めく、芸術品のような白銀の髪。天の神々から美の恩恵を授かったような少年が、そこにはいた。

『わたくしのことが大嫌いな義弟が護衛騎士になりました 実は溺愛されていたって本当なの!?』第1巻

見た目が地味だと、他の令嬢たちから陰口を叩かれる自分とは真逆の存在。
きっと、彼の母親は美しい女性だったのだろう。――1年前に病で亡くなった、ウェレミナの母よりも。

父の裏切りの証である、この義弟を認める訳にはいかない。
しかし、憎まれ口を言うと自分の品位が下がる気がする。

考えたウェレミナの出した答えは、この義弟の至らないマナーや礼儀を徹底的にあげつらう事だった。

その決意通り、ウェレミナは事あるごとにナイジェルの勉強や、身だしなみ、礼儀作法に口を挟んだ。

しかし、それも成長と共にあっという間にナイジェルは身につけ、必死に努力しているウェレミナを追い抜いてしまう。

そして、騎士になることを決めたナイジェルは、騎士学校へ行く為に公爵家を出ていき、騎士学校を卒業しても公爵家へ帰ってくることはなかった。

それだけ、自分という嫌な女がいるからだろう。
何故か月に数度、彼からウェレミナの身体を気遣う手紙が届くのは理解できないが。

ウィレミナのところに聞こえてくるのは、ナイジェルの騎士としての功績と、「神々しいくらいに美しい」という容姿の噂だけ。

ナイジェルが家を出てから4年。ウェレミナも貴族の学園に入学する年が来た。
学園には使用人2人と護衛1人を連れていけるのだが……

「ウェレミナ、護衛騎士が決まったよ」

『わたくしのことが大嫌いな義弟が護衛騎士になりました 実は溺愛されていたって本当なの!?』第1巻

入学を明後日に控え、やっと決まった護衛騎士としてウェレミナの目の前に現れたのは

「ウィレミナ姉様。お久しぶりでございます」

『わたくしのことが大嫌いな義弟が護衛騎士になりました 実は溺愛されていたって本当なの!?』第1巻

地味なまま成長した自分とは違い、美しく、そして逞しく成長した義弟の姿だった。


この作品にTL要素はないのに!

著者は 夕日
本作は女性向けライトノベルですが、配信作品はTL作品が多い印象の作家さんでした。

出版社は KADOKAWA

掲載誌・レーベルは 角川ビーンズ文庫

発売 2022年07月
既刊3巻。おそらく連載中。

汰田羅おい作画でコミカライズ版が連載中。
既刊1巻。まもなく2巻も発売予定。


頑張れ!ナイジェル!!

こうね、思い出の中のナイジェルは、無表情で無口で、でもウェレミナに懐いている男の子、って感じなんですけど。

護衛騎士になってからのナイジェルは…… え、クールさはどこへ? って感じの印象なんですよね。

とにもかくにも、ウェレミナにべったり。

ナイジェルは、もちろんウェレミナの義弟ではなく、駆け落ちした後、ナイジェルを残して死んでしまった王弟殿下の子なんですけど。

それを密かに公爵家に匿われていただけなのですが。

ナイジェル自身はもう、そんなのは邪魔でしかないんですよね。ウェレミナはナイジェルの正体に感づいていて気にしてはいるけど。

そして、ウェレミナもそういう勘は悪く無いのに、ナイジェルの気持ちには気付かない(お約束)!

個人的には、ナイジェルと共闘関係になって、ウェレミナがその関係を誤解するエルネスタ殿下(姫)とナイジェルのやりとりが面白かったです。

ナイジェルもエルネスタもお互いに興味がないから、会話に遠慮がない(笑)。

そして、神々しい容姿であるナイジェルを差し置いてエルネスタとウェレミナの憧れの人、マッケンジー卿も良い。

脇役が良い感じだから、この結末がわかってるストーリーを楽しめる!

ああっウェレミナ、早くナイジェルの気持ちに気づいてー!! と、楽しく読める作品です。


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かおり
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