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後悔を一生背負うことに比べれば、なんでもできるはずだ|ライトノベル『とりかえ花嫁の冥婚 偽りの公主/身代わりの伴侶』
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8歳の時に両親を亡くした黎禾は、弟と共に叔父の元に10年以上身を寄せ、3年前に自立しようと庶民向けに高級品であった茶葉を扱う会社・明茶商会を興し、やっと軌道に乗ってきたところ…
それなのに、黎安が博打で借金なんて──
弟・黎安が博打で2千両の借金を作った。
自力で返すアテはない。
叔父は、そんな黎禾に2千両の結納金を用立ててくれる、という裏切り者と名高い成州王の亡くなった息子との“冥婚”を持ちかけてきた。
黎禾はその“冥婚”を受けることにした。
全ては明茶商会を守るため。
しかし、幼い頃から一緒の小間使い・橙莉は黎禾だけが犠牲になる“冥婚”に納得していなかった。
成州藩に向かう途中で、橙莉は、黎禾に睡眠薬入りの茉莉花茶を飲ませ、彼女が寝ている間に身代わりの花嫁として、成州藩へと向うことにした。
――黎禾に、亡き橙莉の母から受け継いだ、父の形見である佩玉を預けて。
なぜなら、橙莉は決めていたのだ。身寄りのない貧しい自分を救ってくれた黎禾の為なら、何でもすると。
黎禾が目覚めると。
そこは驚くほど高級な建物の中だった。
そして現れたのは、琥珀色の龍袍をまとった、二十歳をいくつか超えたと思われる男性。
彼は皇太子殿下、隆翔様と呼ばれていた。
そして何故か今、黎禾も公主と呼ばれている。
全く状況が分からない黎禾が、状況を確認しようと「皇太子殿下」と声を掛けると
「他人行儀だな。兄上と呼んでくれ」
「兄上!?」
何故か、黎禾は隆翔の妹、ということになっていた。
一方、成州藩へとやってきた橙莉は。
賊に襲われ、見知らぬ男に助けられていた。
そして、橙莉を見て、突然核心を突いた質問をする。
「それで? 本物の汪黎禾はどこに行ったんだ?」
男は、橙莉が“冥婚”をするはずだった黎禾ではないことをすぐに見抜いていた。
黎禾が“冥婚”を嫌がり、橙莉におしつけたのではないのか、と疑う男の誤解を解くため、橙莉は黎禾を眠らせ、自ら代わりにやってきたのだと説明する。
しかし、尚それでも納得しない男は「賭けをしないか」と橙莉に持ちかけた。
黎禾が橙莉の言うような人物なら、橙莉を追ってやって来るはず。
ならば
「来なければ、汪黎禾を連れ戻し義務をまっとうしてもらう」
「黎禾様が追ってきたら?」
「おまえの勝ちだ。おまえの望むとおり、身代わりにでもなんでもなればいい」
今度は橙莉がその言葉に眉を寄せた。
何の権限があって、男がそんなことを決められるのか。
橙莉のそんな疑問に男は驚くべき答えをした。
「俺が婚礼相手の耿玄磊だからだ。おまえたちの予想と違って生きているけどな」
「…………え?」
何と黎禾の“冥婚”の相手は生きていたのだ!
オスマン帝国じゃなくても面白かった!!
著者は 貴嶋啓
女性向けライトノベルを中心に活動されている作家さんです。
もー、私、貴嶋啓さんの「エルトゥールル帝国シリーズ」が好きで好きで。
オスマン帝国風の世界で起こる、政変を軸にしたラブストーリー。
ちなみにこちらも本作のコミカライズを担当されている望月桜さんが3作品コミカライズされています。
こっちも面白いから読んで…!
出版社は 講談社
掲載誌・レーベルは 講談社X文庫ホワイトハート
発売は 2018年07月
既刊2巻。完結済。
現在、望月桜作画でコミカライズ版が進行中。
こちらは既刊1巻。連載中。
コミカライズ版の感想はこちら。
性格と行動が真逆…?
元々、こちらは望月桜さんのコミカライズ作品から入って。
正直、あまり見ないオスマン帝国風な世界が舞台の「エルトゥールル帝国シリーズ」とは違って、異世界の定番中華風ってどうなんだろう… と、思っていたら。
ちょ、ちょっと! 私の好きな身代わりモノ(しかも×2)じゃない!!
と、テンション高くコミカライズ版を読み。
こうしちゃおれん! と原作小説を読んで今に至る…です(照)。
「偽りの公主」の、橙莉に一服盛られ、目が覚めたら(橙莉から預かった佩玉が原因で)公主だって勘違いされて、でもバレたら一族皆罰せられるかも、と逃げるに逃げられない黎禾と。
黎禾に一目惚れしているけど、妹だから? と困惑しながらも彼女に惹かれる隆翔(だけど、本当の妹・橙莉と会った時は結構ドライだった(笑))の2人と。
「身代わりの伴侶」の、黎禾大好きで、大人しそうなのに無謀と言える行動力を発揮する橙莉と、自身の生い立ちから橙莉にやや反発しつつも危険を顧みない橙莉から目を離せない玄磊の組み合わせが。
とっても面白かったです!
本作は2人のストーリーがそれぞれ2つの作品に分かれていますが。
コミカライズ版は、同時進行で1つの作品になってます。
一粒で二度美味しい。
わかってらっしゃる……!!!(でも、ストーリーの組み換えって、すっげー大変そう…)
個人的には、「偽りの公主」で荘貴人の
「もう荘貴人はやめて。わたくしにも、姚凜という名前があるのよ」
という台詞がとても印象的でした。
父親の政略の駒として生きてきた彼女が、自分の意思で生きることを選択した瞬間が輝いて見えた。
彼女のその後の話も読んでみたかったな。
たくましく生きていくような気がする。
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