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もし……もしもの話ですが、右腕が元に戻ったとしたら、なにかしたいことはありますか?|TL小説『薬師に転生したのは、前世の「推し」を助けるためでした 英雄だった聖騎士が私の奴隷になるなんて』

※この作品はTL作品です。

KindleUnlimitedで配信中(2024-07-31現在)


フランバニエ・セトには前世の記憶があった。

記憶の中で、私は日本という国に暮らす大人の女性だった。地方都市にある中小企業で働きながら、一人で暮らしていたことを覚えている。
そんな私が嵌まっていたのが、アンストこと「Unchained story」という、恋愛シミュレーションゲームのスマホアプリだった。

『薬師に転生したのは、前世の「推し」を助けるためでした 英雄だった聖騎士が私の奴隷になるなんて』

ここは、そのアンストの世界。
しかし、そのアンストにはフランバニエという登場人物はなく。

ゲームの世界でありながら、彼女はモブですらなく、老婆のような白い髪と血のような赤い瞳という容姿から、幼い頃に森に捨てられ、森に住む薬師の婆様に拾われ、彼女を看取った後も1人で森に住み続けていた。

そして、彼女は年に一度の奴隷市で、思わぬ人間に出会う。

ゲームの序盤、チュートリアルのサポートキャラとして登場する国一番の剣の使い手と呼ばれた誇り高き聖騎士、ルードヴィク・オルブライト。

チュートリアル終了後、屍竜から主人公たちを助ける為に死んでしまうキャラクターだ。

そんな彼が、全身に醜い火傷を負い、片腕を失い、奴隷に身を落として、そこにいた。

「どうしてこんなところに……」

『薬師に転生したのは、前世の「推し」を助けるためでした 英雄だった聖騎士が私の奴隷になるなんて』

迷いながらも、彼を買い取り家へと連れ帰ったフランバニエ。

しかし、長く奴隷をしていたルードヴィクは既に生きる希望もなく、フランバニエに性奴隷になる気はないし、奴隷としても役に立たないから、返品するように言うばかりだった。

「……治します」
「は?」
「ルードヴィクの火傷の痕も、腕も、全部私が治します」
力強く断言した私を見て、ルードヴィクは訝しげに眉をひそめる。

『薬師に転生したのは、前世の「推し」を助けるためでした 英雄だった聖騎士が私の奴隷になるなんて』

助けても何の得もない自分を「治す」と言うフランバニエにルードヴィクは疑いの目を向けるばかりだったが、フランバニエはその言葉通り、ルードヴィクに人間らしい規則正しい生活をさせ、自身が作ったポーションでの治療を初めた。

そして、そんなフランバニエを見て、ルードヴィクも次第に彼女が純粋に自分を助けようとしているのだと気づき始めるのだった。

※KindleUnlimitedで配信中(2024-07-31現在)


初めて読む作家さん


著者は このはなさくや
TL小説を中心に活躍されている作家さんのようです。読んだことがあると思っていたけど、初めて読む作家さんでした。

出版社は 竹書房

掲載誌・レーベルは ムーンドロップス

発売は 2024年06月
既刊1巻。完結済。
本作はパブリッシングリンクから2023年9月に発売されたものを竹書房で紙で書籍化するにあたり加筆されたもののようです。


おとぎ話のようなストーリー

だな、と。

虐げられていた孤独なフランバニエと、奴隷身を落として生きる意味を見失っていたルードヴィク。

前世の記憶もあって、献身的にルードヴィクの治療をするフランバニエと、最初はそれを疑い素っ気ない態度しか取らないルードヴィクが。

次第に距離を縮めていく様子は、読んでいてたまらない。

もう、グイグイ読んじゃうわよね。

お互いを知っていく序盤、距離が縮まる中盤、そして一緒にいられないかも、からの大団円のクライマックス。

ラブストーリーの基本だし、何度も使われてきた展開だけども。

ここがきちんと押さえられている作品は読んでいて気持ち良い。

特に初めからルードヴィクに好意的なフランバニエよりも、次第に彼女に惹かれていくルードヴィクの描写の方が印象的で読んでいて楽しかったです。

読み応えのある、楽しい作品でした。KindleUnlimitedで読めるので、気になったら、是非。


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かおり
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