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賢くなれば幸せになれると信じて努力してきた。でも──|ライトノベル『冴えない王女の格差婚事情』


幼い頃に見た、結婚式。
新郎新婦も、周りの人たちも幸せそうに笑っていて。
自分も、あんなふうに信頼し合って、穏やかに生きていける相手を見つけたい、と思っていた。

貧しい小国であるハイドランドの第二王女であるソフィーナは、この国を王の代わりに立て直した正后メリーベルの一人娘だ。

妾妃の華やかな容姿を受け継いだ、王太子である兄セルシウスと第一王女である姉とは違い、王女とは思えない地味な容姿。

しかし、「賢くなれば、皆も幸せにできて、自分も幸せになれる」と信じて、王太子である兄のセルシウスと共に政治を学び、母であるメリーベルが3年前に亡くなってからは、何もしない王である父に代わり、兄と共に時に悩みながら政務を行ってきた。

「はい、ソフィーナ・フォイル・セ・ハイドランド殿下、私と結婚していただけますか」

『冴えない王女の格差婚事情』第1巻

ソフィーナの前に膝を付いて求婚をしてきたのは、南の大国カザックの王太子フェルドリック。
最初は美姫と名が高い姉に求婚をしに来たとばかり思っていた。

しかし、彼は自分の目の前にいる。
淡い初恋の相手が。

母である正后メリーベルに連れられてやってきた国際会議で、会議を見学したいと言う12歳のソフィーナに見学が出来るよう口添えをしてくれたのがフェルドリックだった。

ハイドランドの民話に出てくる陽の妖精のように美しい人。
しかし、ソフィーナは、その容姿よりも彼の為政者としての姿勢に惹かれていった。

憧れの人と結婚できる。
そのふわふわとした希望は、フェルドリックと彼の従者兼護衛騎士である従兄弟の会話で地に落とされる。

「セルシウスの懐刀だ。潰しておくに越したことはない」

『冴えない王女の格差婚事情』第1巻

「幸い着飾らせる必要もないような姫だ。姉姫ではそうもいかないからね。あれは波風が立つ」

『冴えない王女の格差婚事情』第1巻

求婚の言葉も、全て嘘だったのか。
ソフィーナの存在に気がついても、フェルドリックは悪びれもしなかった。

「さっきまでひどく喜んでいたようだけど? 僕に惚れているんだろう? よかったじゃないか、そんなでも王女で」

『冴えない王女の格差婚事情』第1巻

彼の本当の目的は、周辺国との政治的な意味の他に、ハイドランドの力を削いでおくこと――。

これは身の程をわきまえず、判断を誤った私に神か母が与えた罰。

結婚への淡い希望も失われてしまった。

ソフィーナは、どうすることも出来ない初恋を抱えたまま、カザックへと嫁いだ。


一応、完結してるけど、スピンオフとかは出ないのかな…?

著者は 戸野由希
本作は小説家になろう、カクヨムで発表した作品の書籍化。
各サイトでは、他にも作品を発表されていますが、本作が初めての書籍化のようです。

出版社は KADOKAWA

掲載誌・レーベルは メディアワークス文庫

発売は 2023年12月
既刊2巻。完結済。


鷹来タラの作画で年内にもコミカライズの連載が開始予定。(鷹来タラは『家から逃げ出したい私が、うっかり憧れの大魔法使い様を買ってしまったら』のコミカライズ等も担当していた)


1回読んだだけじゃ理解できない!それが良い!

もうね、フェルドリックの性格がひん曲がり過ぎてて(笑)。

1回最後まで行かないことには、「え、これ本当にこの2人どうなるの?(どうにかなれるの?)」って感じなんですよ。

フェルドリック以外の人は基本的にみんな良い人なので、そこが救いなんですが、そもそものフェルドリックがひん曲がってるのでどうにもこうにも。

で、最後まで行って、「あー、そういうことね!」ってなってから最初に戻って、「この時も!この時も!あーわかりづらい!」って楽しむ作品だと思う。

ソフィーナは健気で努力家だし、フェルドリックも言動こそ悪いものの、いつだって周りに気を配って、優しいんですよ(多分)。

しかし、お互いが相手の時だけは、ソフィーナは初恋の痛手をこれ以上負いたくないし、無様な真似を見せたくないと頑なになり、フェルドリックはソフィーナの本心がわからず、自分が安全なところからしか優しくはしてないんですよね。

1回読んでスパッと面白い!というよりは、何度も読み返して2人の上手くいかなさを楽しんでください。

で、小説家になろうとか、カクヨムに書かれてるスピンオフとかは書籍化しないのかな?
あれ、面白いのに。


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かおり
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