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噂を放っておいたのは、私が否定したところで無駄だと思っていたからです|TL小説『女性を愛せないと言った侯爵が人が変わったように溺愛してきます ~偽りの悪女の小説より奇なる初恋~』

※この作品はTL小説です。

KindleUnlimitedで配信中。
(※2024-11-05現在)

「こんなところに一人でいるなんて何をしてたんだろうな」
「どうせ男と逢引してたんだろ。昼休みの図書館は人気がないから、男好きの悪女には都合がいいんじゃないか」

『女性を愛せないと言った侯爵が人が変わったように溺愛してきます ~偽りの悪女の小説より奇なる初恋~』

もう何年もの間リニカリア王国の社交界で「悪女」として名を馳せる子爵令嬢のエステルは、実際のところ、派手な見た目ではあるものの、異性とは手を握ったことすらなかった。

それどころか、子爵と使用人である母との間に生まれた生い立ちから家族との関係も希薄で、1人で本を読み、それが高じて数ヶ国の外国語を理解できるようになり、それを活かして官史になろうと志したが。

ここでも“悪女”の噂が邪魔をして。

現在は、王立学院の学長にして言語学者でもあるグレン・チェルスの元で彼の助手と翻訳家として働いている。

一方。

「私とお前はもう十年以上前から愛人関係にある。私が自国と関わりのない東大陸出身の娘を王妃に据えたのも、お前がいまだ独身を貫いているのも、全ては私たちの関係を隠すため。オーランド侯爵は王の愛人だから宰相の任に就いたのだ――そういう噂が広がっている。これは冗談ではなく、確かな事実だ」

『女性を愛せないと言った侯爵が人が変わったように溺愛してきます ~偽りの悪女の小説より奇なる初恋~』

そして、その噂を払拭する為に結婚をしろ、と王であるレイモンドに迫られていたのは、国の宰相であるアシュレイ・オーランド侯爵。

見目麗しく、文武両道で侯爵家当主で宰相。
ついでに未婚で婚約者もいないアシュレイは結婚相手に困るような人間ではなかった。が、

「お待ちください! 私にはそれが難しい理由も陛下はご存知でしょう!?」

『女性を愛せないと言った侯爵が人が変わったように溺愛してきます ~偽りの悪女の小説より奇なる初恋~』

アシュレイは、実は何度も強引に女性に迫られた結果、好意を持って女性が近づいてくるだけで嫌悪感を感じてしまい、性欲を抱けなくなっていた。

結婚なんて出来るわけがない――

しかし、王命。

悩んだアシュレイは、何度か見た事があるだけの“悪女”の存在を思い出した。

「これ以上噂を放置するわけにはいかないと陛下は判断された。早急に私が婚約し、婚約者と仲睦まじい様子を示すことでこの馬鹿げた噂を払拭するように命じられたんだ。私は君に、その相手になってほしいと思っている」

『女性を愛せないと言った侯爵が人が変わったように溺愛してきます ~偽りの悪女の小説より奇なる初恋~』

アシュレイが、ほぼ面識もないに等しいエステルに持ちかけたのは婚約破棄が前提の“仮の婚約者”。

事情はわかるものの、進んで面倒事に巻き込まれるつもりはないエステルは当然断ったが――

「君は大の読書好きだと先ほどチェルス伯爵から聞いた。もしも私と婚約してくれるのなら、特例として王宮図書館の利用許可を出そう」

『女性を愛せないと言った侯爵が人が変わったように溺愛してきます ~偽りの悪女の小説より奇なる初恋~』

「それだけではない。オーランド家の図書室には国内外の貴重な書物が数多く所蔵されている。確か、王宮図書館や王立図書館にもない本もあったはずだ。婚約者になった暁には君にはそれを好きなだけ読んでもらっていい」 

『女性を愛せないと言った侯爵が人が変わったように溺愛してきます ~偽りの悪女の小説より奇なる初恋~』

その口説き文句に、エステルの心が動いた。

それを見逃さなかったアシュレイは、「本の買い放題」も条件に付け加える。

「わかりました。閣下の婚約者になります」

『女性を愛せないと言った侯爵が人が変わったように溺愛してきます ~偽りの悪女の小説より奇なる初恋~』

かくして。本に釣られたエステルは、宰相閣下の婚約者のフリ、というだけではなく、やったこともない“恋人らしい振る舞いの手ほどき”まで引き受けたのだった。

※KindleUnlimitedで配信中。
(2024-11-05現在)


ロイヤルキスのセット本も当たりが多い


著者は 結祈みのり 
初読みの作家さんですが、TL小説を中心に活動されている作家さんのようです。

出版社は ジュリアンパブリッシング

掲載誌・レーベルは ロイヤルキス
個人の感想ですが、このレーベルのセット本(大体5〜6冊)は当たりが多い!

発売 2024年04月
既刊1巻。完結済。
本作はKindleUnlimitedで配信中。(2024-11-05現在)


噂と違う2人が距離を縮めていくのが良い!

基本筋は『無能才女は悪女になりたい ~義妹の身代わりで嫁いだ令嬢、公爵様の溺愛に気づかない~ 』と似てはいるんだけども。

主人公の性格が違うだけで、全然魅力が違うのが面白い。

ちょっとズレた感じが可愛いエイヴリルと違って、エステルは「毒を食らわば皿まで」と言わんばかりに、“悪女”と呼ばれる噂と、その元凶である見た目を存分に活かしてる。

どちらかと言えば、“悪女”として手ほどきをしようと気を張るエステルに対して、アシュレイは最初から弱点をぶちまけちゃってるだけに彼女に頼る部分が多い感じでスタートするんだけど。

これが段々とお互いの“本来の姿”に気が付きはじめて、お互いがお互いの不足を補い合い、最終的にはアシュレイが番犬のようになる……という(笑)

その過程が自然に書かれていて、楽しいんですよね。

そこへ王宮のドロドロした事件が絡まって、最後まで飽きずにグイグイ飲めます。

エステルに出会って、どんどん変わっていくアシュレイがとことん可愛くて良かったです!!


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かおり
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