展覧会レポ:落合陽一×手ぬぐい≒京都で体験する現実と仮想の境界
【約1,600文字、写真18枚】
メディアアーティストの落合陽一氏が、京都の手ぬぐい専門美術館で展覧会を開催中です。現実と仮想の境界を探るため、一歩踏み出してきました。
手ぬぐい×落合陽一
日本最古の木綿商手である永楽屋の歴史をリサーチした落合陽一氏が、十四代目の細辻伊兵衛氏とコラボした展示内容です。
「伝統的な日用品である手ぬぐいに、割れた液晶の亀裂を染め込むという一見奇異な作品群。しかし、その背後には計算機自然が紡ぐ反実仮想の世界が広がって〜」¹いました。
文字として書かれた情報も、割れて、溶けてゆきます。
「~もし江戸時代の手ぬぐいがスマートフォンであったなら、どのような光景が展開されていたのだろうか。」¹
この曖昧な感覚は一体何なのでしょうか。布が割れたガラスのイメージとして脳内に染みこんできます。
わからないから、落合さんに電話する
この展覧会のユニークなところは、体験型といいますか、質疑応答のコーナーがあることです。受話器を耳に当てると、落合陽一氏の声が聞こえてきます。
「~これは、人間と機械、現実と仮想の境界を超えた新たなコミュニケーションの形を提示する試みである。」¹
今なら会場は私一人なので、色々と質問をしてみます。
「あなたは落合陽一さんですか? それともAIですか?」
電話の落合さんは優しい声で「こんにちは。お話できて嬉しく思います。私は生成AIです」と答えてくれました。
本物と偽物の違いはどこにあるのでしょう。違いなんて、記号みたいな観念だけかもしれません。
「すいません『計算機自然』とはどういう意味ですか?」と聞けば、丁寧に答えてくれます。
そもそも、木綿の手ぬぐい生地に施された絵柄は、日常の中に非日常を起こすアート作品です。iPhoneもそうかもしれません。
予期できない落合氏の言葉に、バラバラだった破片が絡まり合う奇妙な世界観に没頭できる体験でした。
これぞボットー体験!
ドローン・テヌグイ
1階には可愛い手ぬぐいのアーカイブ展示があります。
昭和初期の手ぬぐいが展示されており、ユニークな視点で描かれています。
鳥居の大きさや相撲のデザインなど、まさに「ドローン・テヌグイ」。お茶目な作品が続きます。
「ハッケヨイ、ノコッタ、ノコッタ!」と聞こえてきそうなデザインです。
放送作家の小山薫堂氏は、京都の文化について、「文化は『上質な無駄使い』を繰り返す中で磨かれるもの。平安の昔から都として栄えた京都では、長い時間をかけて、上質なぜいたくを良しとするセンスが育まれてきたように思います」²とコメントしています。
スキーヤーを真上から捉えた作品。暖かそうな格好でスキーを楽しんでいる様子が伝わります。
半券が手ぬぐい!?
この美術館、ユニークなのは展示だけではありません。入場チケットが手ぬぐいなんです! ですから、入場する前には半券を切るように、
手ぬぐいを割くと、いい音がします。
頂いた半券の手ぬぐいは、ハンカチのように使っても良いそうです。ほつれてきそうですが、ほつれた糸を切っておけば大丈夫です。手ぬぐいは普通のハンカチよりも水切りが良く、衛生的なんだとか。
手ぬぐいを買うだけでも楽しめます。(売店だけの利用も可能)
今日からハンカチとして使ってみます♪
ソース;
¹:アーティストステートメント「手・ヌル・GUI」落合陽一
²:きょうとシティグラフ134「インタビュー小山薫堂」㈱リーフ・パブリケーションズ、平成24
:落合陽一特別展「手・ヌル・GUI」|同時開催 永楽屋アーカイブ .... https://nuitblanche.jp/evenements/yoichi-ochiai/.
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