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アイルランド節税:知らないと損!一番簡単な節税方法、医療費控除申告をしよう

こんにちは、アイルランド在住会計士のつぐみです。今日は簡単な節税、医療費控除の話。すでにご存じの方も多いでしょうが、まだ申請したことない方や、アイルランドに来たばかりの人には役立つかと思います。
具体的な申請方法も記載しているので、この記事を読めばあなたも自分で医療費の還付金が受けられるはずです。

アイルランドの医療費制度


アイルランドの医療費って本当に高いですよね?
それもそのはず。日本では、公的な健康保険制度のおかげで私たちが負担するのは医療費のたった3割。そして、保険でカバーされた金額を差し引いた残額のみを支払えば済む仕組みです。しかし、アイルランドでは違います。まずは診療費を全額支払い、後から保険や税額控除でカバーされる部分を自分で申請しなければなりません。

驚くことに、現地アイルランド人でも、若者や税金にあまり関心がない人たちは、申告をしていません。小金を集めるのが好きな私には信じられない!
所得税を払っている人なら誰でも、さらにその家族分も、自己負担した医療費の一部を簡単に取り戻すことができるので、使わない手はありません!
この記事では、アイルランドでの医療費控除の申請方法をわかりやすく解説しています。



1. 医療費控除とは?


アイルランドでは、自己負担した医療費の20%が税金から控除されます。これが医療費控除(Tax Relief on Medical Expenses)です。例えば、あなたが€500の医療費を支払った場合、€100が還付される可能性があるのです。
控除の対象になるのは、診療費、処方薬、理学療法や入院費用、不妊治療費用など、医師の治療に関するほとんどの費用です。ただし、美容目的の手術や歯科治療などは対象外ですので、申請前に確認しましょう。

対象となる費用はこちら。
https://www.revenue.ie/en/personal-tax-credits-reliefs-and-exemptions/health-and-age/health-expenses/what-are-qualifying-expenses.aspx

但し、VHIやLayaなど他の私的保険でカバーされた部分は対象外なので、その部分は除外してくださいね。

申請できるのは所得税を支払っている人のみです。しかし家族の1人が所得税を払っていれば、無収入の家族や子供の医療費なども含めることができます。自分が無収入でもパートナーが勤務している場合などは申請可能なのできちんと申請して、医療費を取り戻しましょう。



2. 医療費控除申請の必要書類

  • 領収書
    診療や治療を受けた際の領収書や明細書を必ず受領してください。後述しますが、申請の際に税務当局(Revenue)に領収書を提出する方法と提出しない方法があります。申請時にRevenueに領収書を提出した場合、保管の必要はありませんが、そうでなければ6年間の保管義務があります。後でRevenueが確認を求めることもあります。個人相手の本格的な税務調査は稀ですが、Revenueから「このレシート見せて〜」といった単純な問い合わせがくることもあるのできちんと保管しましょう。

  • 医師の紹介状
    理学療法やカイロプラクティックなどの治療を受けた場合、医師の紹介状や診断書が必要になることがあります。

これらの準備が整えば、あとは実際に申請を行うだけです。



3. 医療費控除の申請方法

【会社勤務の場合】

申請はとてもシンプルです。会社員の場合、①通常の医療費控除と、即時に医療費控除が給与計算を通じて反映される②Real-time credit の2種類の方法があります。
以下の手順で進めましょう:

①通常の医療費控除

❶ RevenueのオンラインサービスMyAccountに登録
税務申告をするには、まずRevenueのオンラインサービスMyAccountに登録しましょう。アカウントを持っていない方は、こちらから簡単に登録できます。

❷ 医療費控除の申請ページにアクセス
当年度中の医療費を申請する場合は、下記のように行います。
MyAccountにログインした後、PAYE Service の項目から2024年(当年度)を選択します。その後、新しい控除を申請を選択、医療費控除の詳細を入力します。
英語表記の方が、MyAccountでの作業が簡単だと思うので貼り付けておきます。

  1. Sign into myAccount.

  2. Click on the 'Manage your tax 2024' link in PAYE Services.

  3. Select 'Add new credits'.

  4. Select 'Health' and then select 'Health expenses', and add it as a credit.

  5. Complete and submit the form

❸還付
通常4-6週間かかります。忘れた頃に否認されたりするのが面倒です。


② Real-time credit

最近できた即時控除反映システム。これは給与計算の際に税金が減額され、給与手取りが増えることで間接的に還付される仕組みです。
この方法のメリットは①の方法に比べ早く、さらに申請後の状況確認もオンライン上で行えることです(Revenueの行動は非常に遅いですから…)。また申請と共に領収書を提出しているため、領収書の保管義務がなくなります。

❶上記と同様に、MyAccountにログインします。
❷PAYE ServicesのManage My Recordセクションを選択、Recipt Trackerを選びます。
❸その後、病院でもらった領収書をアップロードし、詳細を記入するだけで完了。

こちらも英語での説明を貼り付けておきます。

In the Receipts Tracker:

  1. Select ‘Add new receipt’.

  2. Input the date the expense was paid.

  3. Select a category and a sub-category from the list provided.

  4. Input the amount of expenses you paid.

  5. Confirm if you have received a reimbursement from a third party, where relevant.

  6. Upload your receipt, follow the instructions and select ‘Add receipt’ on the bottom of the page.

  7. Follow any further prompts.

  8. Sign and submit by entering your myAccount password.

https://www.revenue.ie/en/personal-tax-credits-reliefs-and-exemptions/real-time-credits/making-real-time-credit-claim.aspx


【自営業の場合】

アイルランドでの医療費控除は、会社勤務者だけでなく、自営業者も対象となります。自営業者の場合も同じように、税申告の際に医療費を控除できますが、年度中に上記の方法では申請できません。
自営業者の場合、年末の自己申告(Self-Assessment)を行う際に、医療費控除を申請します。これは、会社員がPAYEのオンラインシステムで行う申請と基本的には同じ手続きですが、控除の申請をForm 11の一環として提出します。


4. 申請期限


申請は、過去4年間分まで遡って行うことができます。申請しそびれていた年があれば、これを機に過去の医療費もまとめて申請してみましょう。
過去の申告は少しステップが異なりますが、これもMyAccountより簡単に行うことができます。
https://www.revenue.ie/en/personal-tax-credits-reliefs-and-exemptions/health-and-age/health-expenses/how-do-you-claim-health-expenses.aspx



まとめ:今すぐ医療費控除を申請しよう!

アイルランドの医療費控除は、自分で簡単に申請でき、無駄に支払った医療費の一部を取り戻す絶好のチャンスです。会社員であれば、実際の手続きはシンプルで、オンラインで数分で完了します。還付金は、家計の負担を軽減するのに大いに役立ちます。
しっかりと申請を行い、自分の権利を最大限に活用しましょう!


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