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読書ログ:失敗の科学 - 失敗は学習機会
失敗が生じた時にやりがちな、犯人探し、責任追求、唯一の答え探しをやめ、得られた経験を学びの機会と捉えよと主張している本です。
ベストセラーなので期待していましたが、期待を上回る面白さ。同じ著者の多様性の科学も読んでみようと思います。
さて、まずはこの本から得た学びは3つ。
①失敗を責めることには意味がない
特に航空業界における事故の情報共有と、徹底した防止対策、それらを可能とする「心理的安全性の高い環境づくり」にとても心を動かされました。業界全体で、事故は貴重な学習機会と捉えられているのです。
確かに、責められる状況にあったらミスを隠そうとするのは人情だと思います。
ミスは責められるべきものではなく、将来の付加価値を高めるために必要なもの、という共通意識を持ち、ミスを気軽に認め、過去を責めることに時間を費やすのではなく、互いに許容し合い、未来への改善を模索することに時間を費やしていきたいですね。
②試行錯誤を重ねる実証以上に効果的な改善方法はない
本書の中で、ユニリーバやGoogleが採用しているプロジェクトの実行方法が紹介されています。理論的に正解を導きその答えを実行するのではなく、ランダム化比較試験の手法を用いて、数多くトライすることが結局ベストの方法なのです。
ランダム化比較試験は、すべての条件が同じ2つの集団に対して、1つだけ異なる条件のもとで試験を行いその結果を比較するもの。比較対象なしだと、実際はどの要因に効果があったのかが見えづらくなるからです。
個人的な問題なら、従来の方法から1つだけ方法を変えてみて、変更前後での結果を比較する方法を試すことができます。
これが、マージナル・ゲイン(小さな改善)の手法ですね。問題が大きくて大変なら、小さく小さく分解して、1つずつ対応していけば良いと言うことです。
標準化して実証を繰り返すことで、プロセスはどんどん向上します。
③事前検死という方法
最後に、本書にあった、「事前検死」という方法を試してみました。
通常の検死が、死亡原因を確かめるために死後に行われことになぞらえて、事前検死とはあらかじめプロジェクトなどが始まる前に失敗したと仮定して、なぜ失敗したのかをチームで検討すると言うものです。
私はいくつか小さな副業にトライしているのですが、それらが失敗したと考えてみました。するとそもそも失敗した理由を考えるには失敗とは何かを定義する必要があり、そのためには成功とは何かを定義する必要がありました。副業の目的は何なのか、あらためて考えてみる必要があると気づきました。
つまりこの場合、起こりうる失敗理由とは、「明確な目的設定がなされていないこと」です。目的が明確ではないと、何のために行動しているのかがあやふやとなり、結果的に軸がぶれます。
さいごに:エレノア・ルーズベルトの名言
「人の失敗から学びましょう。自分で全部経験するには、人生は短すぎます。」
自分や他人の失敗に寛容になり、失敗を学びの機会だと捉えるマインドセットを教えてくれる素晴らしい本でした。