アイルランド就職活動のヒント4つ
こんにちは、アイルランド在住のつぐみです。
Non-EUである日本人にとって、ヨーロッパでの就職活動はビザ取得も絡むため大変。日本とは異なる以下の特徴を抑え、就職活動を頑張りましょう。
① 英文履歴書CVを作り込もう
外資企業への就職活動には英文履歴書(CV・レジュメ)が必要です。日本の履歴書と職務経歴書を合わせたようなものですね。イギリス・アイルランドではCVと呼ぶので、以下CVで統一します。
私は自分の就職活動のため、自分のCVももちろん作成していますが、採用担当として雇う側の立場からもたくさんのCVを見てきました。その経験から、参考になりそうな事をシェアします。
CVの基本
日本の履歴書と違い、CVは自由度の高いフォーマットです。
大体決まっている形式としては、以下となります。
・最初に名前・住所などの基本情報
・プロフィールサマリー(自分の簡潔なプロフィールを最初に書く)
・職歴(新しい順)
・学歴(新しい順)
・資格、趣味、ボランティア活動
・外国人の場合、ビザ情報は必須(ビザ情報の記載がない場合、よっぽど強い候補者でない限り次には進みません。スポンサーになってほしい場合もその旨を記入しましょう。)
プロフィールサマリー(自分の簡潔なプロフィール)を最初に書く
名前等の基本情報の後に、自分の職歴のサマリーを一言で書きます。これはProfessional SummaryやObjectiveなどと呼ばれ、過去にどんなキャリアがあり、募集している職種にマッチしているかいなかを一目でわかってもらうための重要な記載です。後述しますが、応募する職種によって記載内容は変える必要があります。
ここでは自分の具体的な職歴、経験年数、一般的な肩書き、強み、キャリア的な関心を盛り込みましょう。
職種ごとの例文は以下のサイトなどが参考になります。
会社ごとにCVは更新する
これは型が決まっている日本の履歴書とは異なる部分です。
募集している職務内容に合致するように、自分の職務経歴の関連分野を強調したり、無関係なキャリアを除外したりする事で、CVを更新しましょう。
企業採用側の立場からすると、応募する職に無関係のようなインターンを含む今までの職務履歴を、ただ順番に全て記載した長いCVを送ってくる人は印象が悪いです。とりあえずCV送ってるだけなのが透けて見えるからです。どの企業にも同じフォーマットで提出しているんだろうと推測できるCVには、私は良い印象を持ちません。それよりはきっちり関連職歴、学歴、追加情報を記載した2-3枚のCVの方が、視点がぼやけず、判断しやすいため好印象です。
採用担当者も忙しいから冗長なCVに目を通している暇はないし、CVの目的は「最低限こちらの欲しいスキル、経験を持っているか」のスクリーニングですから、それさえクリアしていれば書類審査はパスします。
CVはあくまで最初のステップ。面接で話してみたいか否かを判断するステップに過ぎません。
小さな会社の採用であっても、時には50通を超えるCVを受け取ります。細かい内容をとめどなく記載したCVよりは、要点のみ記載したCVの方が、面接でもっと具体的に話を聞いてみたいと思わせるため、好印象です。
手前味噌ですが、私は書類審査通過率はかなり高いです。会計業界では比較的強い経歴を持ってはいますが、それだけではなく、毎回応募する企業に対してCVをカスタマイズしているのが理由だと思います。
キャリア年次が低いうちは、CVをただ一斉送信のようにばら撒くのでも良いと思いますが、ある程度キャリアを積み上げたら、CVは応募先に応じてカスタマイズしましょう。
具体的には、応募する会社のJob Specの内容に寄せて自分の職歴、経歴を更新しましょう。同じような職種でも、Job Specは違うはず。まずは行きたい企業のJob Specを読み込み、相手の優先順位を読み取り、自分が「相手が求めている人材であること」をわかりやすく提示しましょう。Job Specから読み取れる必要なハードスキルだけではなく、企業の雰囲気や評判などから読み取れる好ましいソフトスキルも織り込みましょう。
これは嘘を書くというわけではなく、強調すべき場所を毎回会社ごとに変えていく、という意味。同じような応募内容でも、各会社が何を重視しているかは異なります。そのプライオリティに合致させるようにCVを更新しましょう。
② Linkedinを使いこなそう
LinkedInは、世界のユーザー数7.5億人のビジネス系SNSです。最近日本でもユーザー数が増えてきているようですが、イギリス・アイルランドをはじめヨーロッパ、アメリカでは、名刺以上の存在感で、ビジネスシーンの至る所で活用されています。職種にもよりますが、Linkedinアカウントがあることは、プロフェッショナルとして当たり前となっています。
大学や会社の研修などでも、LinkedInプロフィールの作り方が取り扱われ、職業人としての自己アピールの仕方を学ぶ機会が得られます。
最低限アカウントは作成しよう
外資就職を目指している方は、アカウントを作成して、プロフィールを充実させておくことをお勧めします。
LinkedInはそもそもCV提出用のプラットフォームに使われることもありますし、そうでなくても面接官が事前にLinkedInにて候補者をチェックすることもあります。また面接前に、自分の面接官の名前がわかっている場合、相手のLinkedinを事前に確認するのも一般的です。以前は、実際に会ったことのない人の情報をネットで確認するのはストーカーっぽいと思っていた時期もありますが、最近では普通に検索されるので遠慮せず確認しておきましょう。共通の趣味や知人がいる場合、面接の良いアイスブレイクとなります。
エージェントからのスカウトもきっかけに
特に就職活動をしていない時でも、転職エージェントがプロフィールを見てスカウトしてくることも多いです。
ニッチなスキルを持っている私にも個人宛にメッセージが来ますし、実際に転職エージェントがLinkedIn経由で紹介してくれた会社に就職したこともあります。具体的には、私の場合、「日本人会計士」などの職を探しているエージェントからは頻繁に声がかかります。
一昔前までは、ヘッドハンティングとは高級取りの役職限定だったイメージがあります。しかしLinkedInがある今、一般の役職であっても、このプラットフォーム経由での転職エージェントの紹介は本当に多いので、有効活用しない手はありません。
③ 転職エージェントを最大限活用しよう
エージェントを使うと、アイルランドでの就職活動がスムーズに進みます。まず、エージェントは企業からの成功報酬で運営されているため、候補者は費用を支払う必要がありません。彼らはCVのアドバイス、面接対策、適切な求人の紹介をしてくれます。彼らは企業に雇用を紹介する成功報酬で成り立っているので、彼らのモチベーションは1人でも多く雇用させること。そのために協力してくれますので、上手に活用しましょう。
効率よく活用するためには、以下留意しましょう。
自分のスキルと希望を明確に伝える。
複数のエージェントに登録し、幅広い機会を得る。
定期的なコミュニケーションを大切に。
アイルランドの就職エージェント7社紹介
エージェントはあなたの強みを最大限に引き出してくれる存在です。
アイルランドの就職活動で役立つエージェントをいくつか紹介します。業種別に強みを持つエージェントを選ぶことで、効率よく就職活動を進めることができます。
【全般】
Sigmar Recruitment:幅広い業種をカバーしており、セールスやマーケティングなど多方面のサポートを提供します。利用者の満足度が非常に高いことで知られています。
CPL resources:IT、ヘルスケア、エンジニアリング、金融分野に強いエージェント。アイルランド国内外の幅広いネットワークを持ち、企業に適した候補者を紹介しています。
Osbourne Recruitment:事務職からエンジニアリングまで幅広い業種を扱い、特に人事や管理職の求人に強いです。
【業種特化型】
Morgan McKinley:会計・金融系に強く、アイルランド全土で多くの企業とのネットワークを持っています。特に会計士やファイナンスの専門家に向けた求人が豊富です。
Reperio Human Capital:エンジニアやIT関連の求人に強いエージェント。ソフトウェア開発やインフラ、サイバーセキュリティなどの技術職に特化しています。
【エグゼクティブ系】
Robert Walters:エグゼクティブポジションや専門職に強く、ハイクラスな職を求める方に適しています。特に金融やIT、リーガルの分野で評判です。
Brightwater:会計、法律、技術職に特化しており、専門職やエグゼクティブ向けのポジションが多いエージェントです。
④現地人ネットワークを広げ、非公開の求人情報を手に入れよう
アイルランドでの就職活動では、エージェントの活用も大切ですが、実際には口コミや現地人とのネットワークも強力なツールになります。アイルランドでは人とのつながりを重視する文化が根強く、現地ネットワークを広げることが重要です。
例えば、カジュアルなコミュニティイベントやオンラインの業界フォーラムでの付き合いで仕事情報を入手したり、LinkedInを活用することで、企業の内部情報や非公開求人を得られる可能性があります。現地の人からの信頼を築くことで、企業に紹介されやすくなり、競争力のある就職活動ができるでしょう。
口コミによるメリット
非公開求人にアクセス:
エージェントや一般的な求人サイトでは見つけにくい「隠れた求人」に出会える。日本人というニッチな人材を欲している企業は意外にいるものです。積極的にネットワークを広げましょう。
企業文化を事前に把握:
口コミを通じて、企業の働きやすさや実際の職場環境に関するリアルな情報が手に入る。エージェント経由ではポジティブな情報しか手に入りません。ネガティブな面がない企業はありません。事前に既存従業員の裏話を聞いておくことは非常に有意義でしょう。
また、匿名ベースで、実際の従業員が企業の採点をしている以下のようなサイトもあるので参考になるかもしれません。
https://www.glassdoor.ie/Reviews/index.htm
https://www.glassdoor.ie/Reviews/index.htm
リファラル制度を活用:
アイルランドの企業は従業員の紹介を重視することが多く、既存従業員を通じて推薦されると面接に進む確率が上がります。企業によってはリファラル制度を採用している会社もあり、紹介者には€500-€1000程度の紹介料が支給されることが多く、友人知人などを紹介するインセンティブになっています。
このように現地の知り合いを作ることが、就職活動の幅を広げる効果的な手段となります。
私自身も、アイルランドでの最初の就職は、知人の紹介でスタートアップインキュベーターを知り、その取引先企業に私のCVを送ってもらいました。いくつかの企業で面接を受けた結果、契約社員として採用され、その後ワークパーミットも発行してもらえました。このように、現地のネットワークが新しい機会を開き、公式に求人が出されていないポジションに繋がることもあります。
海外での就活には運も必要ですが、根気良くスキルを積み、ネットワークを広げていれば必ず実ります。めげずにCVを送り続けましょう!