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異文化理解力 ④&⑤ヒエラルキーと意思決定プロセス

読書ログ3日目です。

『異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養』

エリン・メイヤー

グローバル環境にて仕事や生活をされている方に必読の一冊です。


今日は文化の相違を比較する8軸のうち、④リーダーシップと⑤意思決定プロセスです。

この2つの軸は一緒に考える必要があります。

まずリーダーシップの軸とは、ヒエラルキーとして平等主義か階層主義かです。オランダなど西欧文化にはフラットな組織形態をとる平等主義が多く、日本などは階層主義です。

次に意思決定プロセスとは、組織の決定が合意により行われるか、トップダウンにより行われるかです。合意方式とはチームの個々の意見を尊重し全員で決定する方法、トップダウン方式とは1人が決定する方法。

世界中多くの国において、平等主義文化の国は合意による意思決定がなされ、階層主義文化ではトップダウン式の意思決定がなされます。
フラットな関係だとみんなで納得いくまで議論して合意を形成し、一方で厳格なヒエラルキーがある組織ではトップが決定し有無を言わせないやり方がすんなりと想像できると思います。

この想像しやすいところがポイントで、組織形態と意思決定方法がわかりやすい場合、相手の国からも違いが認識しやすく、そのため対策も立てやすいので問題が生じにくいのです。

しかしこの一般的なパターンである、平等主義文化の合意による意思決定及び階層主義文化のトップダウンによる意思決定に当てはまらない国が3つあります。

アメリカ、ドイツ、そして日本です。
アメリカとドイツはそれぞれ、一般的なパターンの逆の意思決定方法を取ります。
アメリカは平等主義だが意思決定はトップダウン、ドイツは階層主義だが意思決定は合意によります。

アメリカ人がプロジェクトを進める時、1人が早い段階で最初の決定を行い(トップダウン)、行動の結果の中から情報を拾いながら、最初の決定をみんなで修正していく(平等主義)方法をとります。

一方でドイツ人は、合意形成に時間をかけ、その後の実行の時間を最小化する方法をとります。

意思決定の方法に優劣があるわけではなく、どちらの方法もうまくいきます。組織を構成するメンバーが、どのように意思決定がなされるかについて合意している限りにおいて。

アメリカ人とドイツ人が同じチームでプロジェクトを進行すると、アメリカ人はドイツ人の意思決定が遅く、一度決めた決定に対し柔軟性がないという見解になりますし、ドイツ人はアメリカ人の決定は浅慮であり、実行に無駄が多いという見解になり、争いの種となります。

お互いの「決定」の意味が違うんですよね。沢山ある決定のうちの一つに過ぎず、いつでも修正可能なのか、唯一無二の決定なのか。

そのためグローバルな環境下で働くときは、プロジェクトでの意思決定がどのように行われるかについてチーム内で明確にしておく必要があります。

ここまでの話で、ドイツと日本がよく似ていると言われる理由がなんとなくわかると思います。

日本はドイツよりさらに強い階層主義である上に、極端な合意を重んじる文化なのです。
稟議システムが物語るように、日本の意思決定は上司そのまた上司からの承認を必要とする階層主義であり、各々の階層での稟議回付などボトムアップによる全員同意を行うシステムが存在しているのです。

私はアメリカ人と仕事をする上で発生した多くの問題は、これに起因していたと感じました。

日本人的には、実行時の物的・人的資源ロスを避けるため、合意形成に時間をかけたい気持ちがあり、アメリカ人の迅速すぎる決定に最初から不満を抱きがちになります。さらにプロセス進行途中に、既に決定された事項について合意を覆せる発想がないため、大きな変更を要する問題提起をしづらくなります。

・今後の課題
自分の意見が採用されなくても、ひとまずは決断に従い、最初の計画は最善ではないとチーム全員で認識する。修正改定を加えていくことで、成功に導く。
リーダーとしては迅速に決断するよう心がける。過ちを許容し、決定はのちに調整や再検討ができることを認識する。
プロセスの進行中は柔軟であることを心がける。

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