#697 「歴史」にしないために語り継ぐ
THE BLUE HEARTSの楽曲『TRAIN-TRAIN』の一節です。
今この瞬間を生きている私たちは、それこそまさに何百億分の1の確率で、同じ時代を共有し、そこに自分の大事な人がそばにいる「今」こそが、最も価値があると個人的には感じています。
歴史は、所詮過去の産物です。私たちは過去から多くのことを学びますが、過去のいかなる偉人や偉業を知ったとしても、今まさにそこにいる「あなた」の方が大切です。
だからこそ、仮に歴史上で知った事柄が、「今」を精一杯生きるために必要であるならば、それを「歴史」と認識してはいけないとも思います(あくまで概念的な話になりますが)。
私たちは、常に今(あるいは未来)を意識し、生きています。過去には決して戻れないし、自分が生まれていない時代のことは、どうしてもリアルに欠けてしまう。
過去の出来事を歴史として捉えないこと。これが今を生きる私たちが持たなければならない感覚なのかもしれません。
『伝え続けた“地獄”『被爆者』世界に定着させる…“日本被団協”68年の歩み』
今年のノーベル平和賞が、被爆者の立場から核兵器の廃絶を訴えてきた日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会に与えられたというニュースがあります。
日本被団協は、広島・長崎に原爆が投下された10年後の1955年に設立。世界からの核兵器の根絶を目標に掲げ、長きに渡り活動を続けています。
2016年には当時のアメリカ大統領バラク・オバマ氏が広島を訪問した際にも握手を交わしながら会話した映像が印象的です。
日本に2つの原爆が投下されたのは約70年前。人間の一生を考えれば、それはもう「歴史」となってもおかしくないほどの時間が経過しています。
そんな中、世界情勢は不安定になるばかり。ロシアのウクライナ侵攻をはじめとした、北朝鮮の弾道ミサイル、中国の台湾政策、イスラエルと周辺各国との激しい戦闘。いつどのタイミングで核兵器が使用されてもおかしくありません。
今回の日本被団協の平和賞の受賞は、彼らの活動が核兵器の恐ろしさを「歴史」としてではなく、「今」として語っていることへの感謝なのかもしれません。