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#448 「〜しなければならない」に縛られること

 先日、友人と会ってテニスをし、その後カフェに行って近況報告をしました。彼は全国屈指の中高一貫校を卒業後、最難関の国立大学に入学。アマチュア将棋界隈で知らぬ人はいないほどの実力者であり、さらにスポーツもできるというスーパーマン。

 そんな彼の履歴書を作ったならば、日本全国でもトップクラス。彼のたゆまぬ努力によって描かれたそれは、今の社会の中ではモビルスーツくらい「最強の鎧」となりうるでしょう。

 では今の彼は幸せなのか、と聞かれたら実はそうでもない。今の彼は、これから自分がどのように生きていくべきかを悩み、頭の中で哲学し、答えのない問いに対してぐるぐる回っている感じが私からしているのです。

 その原因の一つに、「自分ルール」が多いという側面がある。彼には「理想の姿」があり、今の自分の状況とその理想の姿に乖離があるそう。「こうあるべきだ」という彼の理念が、逆の彼の選択肢と思考を狭めてしまっているのではないかと個人的には考えている(この話は直接彼に伝えています)。

『BrightChoiceな子育て〜インターナショナルスクールに通う息子が、日本の「中学受験」を検討した理由〜』という記事を見つけました。

 グローバル教育、女性のセカンドライフ、女性のセカンドキャリアをキーワードに、多様な教育、多様な生き方を支援する『Bright Choice』の代表、佐久間 麗安氏の子育てに関するエピソードが書かれいています。

 その中で、司馬遼太郎の一節を佐久間氏は紹介しています。

「しかない、というものは世にない。人よりも一尺高くから物事をみれば、道はつねに幾通りもある。」

(『竜馬がゆく』より〈司馬遼太郎 著 / 文春文庫〉)

 彼の育ってきた世界には、常に何かしらの「正解」があったのではないかと個人的には想像しています。その正解を出すまでに、彼は人の何倍も努力し、常にその正解を出してきたです(とても尊敬しています)。一方、実は世の中にあるほとんどの事象には「正解」がない。言い換えれば、自分が正解だと思っていても、他者にとってそれが正解とは限らないのです。

 記事の中で印象的な言葉がもう一つありました。

"The purpose of education...is to create in a person the ability to look at the world for himself, to make his own decisions." ― James Baldwin
「教育の真の目的は...自分の尺度で世界を見極め、自分で意思決定できる能力を創造することにある」

 今、急速に変化する社会の中で、「こうあるべき」という価値観はほとんどなくなってきているのではないかと個人的には感じている。逆に正解がないから面白い。彼はまさに今、自分の人生を創造し始めいるのではないでしょうか。

 

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